それでもスマホの技術進化は続いている、「iPhone 15 Pro Max」「Mate 60 Pro」を分解:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(77)(1/4 ページ)
今回は、2023年夏に発売された話題のスマートフォン、Apple「iPhone 15 Pro Max」とHuawei「Mate 60 Pro」の分解結果を報告する。
2023年に入ってから、生成AI(人工知能)ビジネスが日進月歩で成長を続けている。生成AIのエンジンとなるNVIDIAのAI-GPUが話題となり、半導体はニュースでも大きく取り上げられている。NVIDIAの「A100」や「H100」といったモンスター級プロセッサの需要が激増しており、今や業界全体の成長のけん引役となっている(両チップは弊社でも入手、解析を行っており、本連載でも報告する予定)。
一方で過去10年にわたり半導体業界をけん引してきたスマートフォン市場の成長は低調で、メモリや通信用チップなどは売り上げを大きく落としている。
だが、低成長期に入ったスマートフォンであっても、大きな技術的な進化が続いている。Samsung Electronics(以下、Samsung)は2023年のフラグシップモデル「Galaxy S23 Ultra」で2億画素のCMOSイメージセンサーを搭載し、カメラ性能を大幅に向上させた。Googleは2023年10月、第3世代の独自プロセッサ「Tensor G3」を搭載した「Pixel 8」シリーズを発表。OPPO、Xiaomi、ソニー、Samsungらは、2023年発売のフラグシップ機種にQualcommの「Snapdragon 8 Gen 2」を採用し、2022年モデルよりも高い演算性能と低い消費電力を実現できている。低成長期に入ってもスマートフォンは確実に性能アップを続けているわけだ。今後も半導体/コンピュータ業界のけん引役の一翼を、スマートフォンが担っていくことは間違いないだろう。
本稿では、2023年夏に発売された話題のスマートフォンを2機種、取り上げたい。
光学5倍ズームが話題、「iPhone 15 Pro Max」
図1は、Appleが2023年9月22日に発売した「iPhone 15 Pro Max」の様子である。iPhone 15 Pro Maxは6.7インチディスプレイと光学式で5倍の望遠カメラを特長とする最上位モデルである。同時発売の「iPhone 15 Pro」(ディスプレイは6.1インチ)に比べて2回り大きいサイズになっている。
両機種ともに、従来機種の端子であるLightningが、USB Type-Cに変わった。端子位置は従来製品と同じなので、全体のデザインは前機種を踏襲するものになっている。図1の右はiPhone15Pro Maxのディスプレイを取り外した様子である。内部の基本配置は前機種と変わらない。構成は次の通りである。
- プロセッサおよび通信基板
- カメラ部:外部3眼カメラ+3D-LiDAR、Faceカメラおよび顔認証用3Dドットプロジェクター
- L字型電池(電池下部にはQi 非接触充電コイル
- スピーカー
- スピーカー、TAPTIC、USB-C端子
2と5の下部には計4基のマイクロフォンが埋め込まれている。
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