米中向けが好調で23年度2Qは増収増益、ソシオネクスト:通期予想は上方修正(2/2 ページ)
ソシオネクストの2023年度第2四半期(2023年7〜9月)業績は、売上高が前年同期比29.7%増の555億円、営業利益は同76.2%増の86億円、純利益は同48.2%増の73億円で増収増益となった。
先端ノードへのシフトが加速
2023年度上期の地域別売り上げは、日本向け中心から、中国および米国向けへのシフトが進んでいるという。中国向けはデータセンター/ネットワーク向けの特需により成長し、米国向けはスマートデバイス関連需要が増加した。
同期間の売上構成比率は、中国が前年度通期の売上高構成比率から9ポイント増の42%。米国は、上期全体では同5ポイント減の11%だったものの、2023年度第2四半期単体では前四半期比6ポイント増の15%と増加傾向にある。
2023年度上期のNRE売上高構成比率では、米国向けが前年度通期の売上高構成比率から5ポイント減の40%、中国向けが同1ポイント増の22%、日本向けが同9ポイント減の17%だった。
プロセスノード別では、5〜7nmへのシフトが進んでいるという。2023年度上期の売上高構成比率は、5〜7nmが前年度通期のデータとの比較で6ポイント増の39%、10〜16nmが前年から変化なく16%、20〜28nmが同1ポイント増の23%。NRE売上高構成比率では、5〜7nmが前年比3ポイント増の62%、10〜16nmが同6ポイント減の13%、20〜28nmが同1ポイント減の11%だった。
25年度までは横ばいも、26年からは2桁成長を見込む
肥塚氏は、2024年度以降の成長予測について「2022〜2023年度は、特需や為替の影響があり大きく成長した。2024〜2025年度は、好調な商談獲得による新規量産品の売り上げ増と、特需の終了および、民生機器や中国向けの伸び悩みによるマイナス影響が打ち消しあい、全体では横ばいか、若干の減衰となる予想だ」と説明した。なお、米国による対中輸出規制のビジネスへの影響については「現時点では軽微だと考えている」とコメントした。
同社は、TSMCの車載向け3nmプロセス「N3A」を採用したADASおよび自動運転向けカスタムSoC(System on Chip)の開発に着手していて、2026年の量産開始を予定している。肥塚氏は、「2026年度以降は、現在商談獲得が好調な車載分野がけん引する形で、少なくとも数年間は2桁成長が続く見込みだ」と語った。
ソシオネクストは2023年10月、2nm世代プロセスのマルチコアCPUチップレット開発におけるArmおよびTSMCとの協業を発表している。同氏は「2024年度にArmとテストチップを開発する。しかし、あくまでもテストチップのため、商談化はテストチップの開発実績を見て判断することになる。商談化が始まった場合、まずはデータセンター/ネットワーク向けの提供を想定していて、その後、自動車向けの提供を開始することになるだろう」と述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ソシオネクストがインドに拠点を新設、開発力を強化
ソシオネクストは2023年8月10日、インド・ベンガルールに新拠点を開設し、設計開発力を強化すると発表した。同年8月16日に開設予定で、ソシオネクストの米国子会社であるSocionext Americaの支店として運営される。 - ソシオネクスト、HD-PLC通信用LSIの量産を開始
ソシオネクストは、量産出荷を始めたHD-PLC通信用LSI「SC1320A」が、札幌市に開業する都市型水族館「AOAO SAPPORO」の高速電力線通信システムに採用されたと発表した。 - ソシオネクスト、2nm技術でArmおよびTSMCと協業
ソシオネクストは、2nm世代プロセスのマルチコアCPUチップレット開発で、ArmおよびTSMCと協業する。開発するチップレットは、大規模データセンター用サーバや5G/6Gインフラストラクチャ、DPU(データプロセシングユニット)、ネットワークエッジ市場に向け、2025年上期にもES品の供給を始める。 - 車載用3nmプロセス採用SoCを26年に量産、ソシオネクスト
ソシオネクストが、TSMCの車載向け3nmプロセス「N3A」を採用したADASおよび自動運転向けカスタムSoC開発に着手した。2026年の量産開始を予定している。 - パワー半導体向け堅調で高水準の出荷維持、ディスコ
ディスコの2023年度第2四半期(7〜9月期)売上高は前四半期比34.0%増の722億円、営業利益は同65.2%増の280億円、純利益は同57.9%増の200億円だった。世界的なEVシフトや脱炭素化の進展を背景としたパワー半導体向けで強い需要が継続、市場動向と連動性が高い出荷額は794億円と高水準を維持している。 - 車載分野が好調で過去最高益を更新、ニデックの23年度中間決算
ニデックの2024年3月期(2023年度)第2四半期連結決算は、売上高が1兆1606億円、営業利益は1157億8200万円と、前年同期比で増収増益だった。車載分野における日米欧からの引き合い増や、精密小型モーター分野の回復傾向によるものだ。