検索
インタビュー

Rapidusとも提携、Tenstorrentの現状と戦略Jim Keller氏に独占インタビュー(2/3 ページ)

2nmプロセスベースのAIエッジデバイス領域での半導体IPに関して、Rapidusと提携を結んだTenstorrent。同社CEOのJim Keller氏が今回、米国EE Timesのインタビューに応じ、事業の現状や戦略などを語った。

Share
Tweet
LINE
Hatena

「設計企業」であるTenstorrent

 Keller氏は、Tenstorrentはコンピュータ、チップ、チップレット、IPのいずれにおいても「設計企業だ」と繰り返し説明している。ビジネスが勢いに乗った今、製品としてのIPの重要性を再評価しているのだろうか。

 「IPの販売には2つの作用がある。IPを販売することで、IPを構築するコストを少し償却できる。さらに、顧客が何を望んでいるのかという非常に有益なフィードバックを得られる。特に、Hyundaiと同社が協業している企業からは、LGと同様に、何を望んでいて何が不要なのかについて、膨大な量のフィードバックを得ている」(Keller氏)

EE TimesのSally Ward-Foxton記者(左)のインタビューに応じるJim Keller氏(右) 出所:Tenstorrent
EE TimesのSally Ward-Foxton記者(左)のインタビューに応じるJim Keller氏(右) 出所:Tenstorrent

 Keller氏は、「LGの幹部からは、実行したいモデルの種類や精度、ワット当たりの性能、費用対効果の目標についてフィードバックを得ていて、当社はさらなる研究によってその目標を達成できると確信している」と述べている。

 同氏は、「IPの開発コストはかなり高い。Intel やAMD、NVIDIAのような企業は、利益率の高い、製品レベルのビジネスを有していて、IPによって製品が十分に売れることが分かっている。そのため、IPの開発に数億米ドルを喜んで投じられるのだ。だが、スタートアップの場合は、開発に2億米ドルを投じたIPの第1世代の売り上げが5000万米ドルであれば、破産してしまう」と述べる。

 「そのため、スタートアップがIPビジネスに参入するには、投資家の信頼が必要で、投資家は長期的なビジネスを信用しなければならない」とKeller氏は言う。

 Keller氏は、「最初の数回のIP取引が順風満帆ではないことは覚悟しているが、このフィードバックは当社が製品を開発する上で絶対に不可欠である」と強調した。

 「自社用の製品を開発するのはとても簡単だ。独自の手法で開発し、『これは史上最高だ』と悦に入ることもできる。だが、他社に提供するとなると『この点についてはどうですか? これについては?』と次々に要望があがる。CADフローが良くない場合もあれば、修正できることもできないこともある」(Keller氏)

 同氏は、「当社のチップやチップレットに関心のある企業とも話をしているが、あらゆる抽象化レベルで当社の技術に柔軟にアクセスできるようにすることが重要だと感じている」と述べている。

 「当社はシステムや製品がどのようなものかという考えを持っているが、異なる考えを持っている企業もある。世界には、より費用対効果の高いシステムを構築する方法について、クリエイティブなアイデアをたくさん持っている人が大勢いる。しかし、(他の誰かの)システムの後ろ盾を受けて製品を作ろうとすると、それはそのシステムの亜種であって、独自の製品ではない」(Keller氏)

 Keller氏は、独自のシステムを所有したり、より費用対効果の高い、自社に最適化されたシステムを構築したりすることに関心を持っている潜在的な顧客がいると考えており、費用対効果の高いデータセンターAIインフラを提供する機会に期待しているという。

 同氏は、「ことしの私の使命は、IPとシリコンレベルの両方で製品の販売を開始し、顧客と協力してフィードバックを得ることだ」と述べている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る