JASM、材料の国内調達を2030年までに「60%に引き上げ」:「SEMICON Japan 2023」で講演(1/2 ページ)
半導体関連技術の総合展示会「SEMICON Japan 2023」にて、「日本半導体産業の発展に向けて 半導体を取り巻く先端開発」と題した講演が行われた。本稿では、その中から、Japan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)社長の堀田祐一氏と、Rapidus シリコン技術本部 専務執行役員 シリコン技術本部長の石丸一成氏の講演内容を紹介する。
「SEMICON Japan 2023」(2023年12月13〜15日/東京ビッグサイト)にて、「日本半導体産業の発展に向けて 半導体を取り巻く先端開発」と題した講演が行われた。Japan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)社長の堀田祐一氏が、工場建設の進捗やサプライチェーンの準備状況を、Rapidus シリコン技術本部 専務執行役員 シリコン技術本部長の石丸一成氏が、Rapidusの現況を語った。
JASMの課題は材料調達、国内材料メーカーと協力へ
TSMCの子会社であるJASMは現在、熊本県菊陽町に工場を建設中で、TSMCの製品ラインアップのうち28/22nm品、16/12nm品を手掛ける予定だ。堀田氏は「日本の顧客に最も大きな需要のあるテクノロジーノードだ」と説明する。
JASMは2021年12月の設立後、2022年4月に新工場の建設工事を開始した。2022年11月には数百人の日本人技術者を台湾の姉妹工場に派遣し、研修を始めた。2023年4月には初めて新卒採用の新入社員を迎え、同様に台湾で研修を行っている。2023年8月には新社屋が一部使用できるようになり、研修を終えた日本人技術者が帰国したほか、台湾からの出向者やその家族を迎えた。
2023年10月には工場棟も一部使用開始となり、半導体製造設備の搬入などを行っている。建設工事は2023年12月現在も続いているが、ほぼ計画通りに進んでいて、近々完成する見込みだという。2024年の生産開始を目指している。
JASMには現在、親会社からの出向者600人に加え800人が新たに入社し、合計1400人の人材が集まっている。2024年春には約250人の新卒採用者が入社予定で、目標としている1700人体制に向けて一定のめどがついているという。新卒採用者は約半数が九州出身で、地元の高校卒業者を多く採用していることが主因だ。大学卒業者は全国から広く採用している。堀田氏は「熊本は暮らしやすく、自然に恵まれた地域。今後も多くの学生に興味を持ってほしい」とアピールした。
サプライチェーンの準備状況については、「短期間で台湾の姉妹工場から技術移管を行うことが大きな命題」と言及。姉妹工場と同様の性能/品質をもつ材料を確保する必要がある。現状で国内調達ができる材料は全体の25%だといい、量産開始以降は速やかに50%まで引き上げ、2030年までには60%まで引き上げることを目標としている。
堀田氏は国内で調達できる材料の少なさについて「日本では半導体の微細化が止まっているため、日本の優れた材料メーカーが高性能な材料を日本ではなく台湾で製造するようになったケースが多い」と分析。「そうした材料メーカーに協力してもらい、日本での生産を共に進めたい。日本の現場の製造能力引き上げにも貢献すると確信している」と強調した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.