JASM、材料の国内調達を2030年までに「60%に引き上げ」:「SEMICON Japan 2023」で講演(2/2 ページ)
半導体関連技術の総合展示会「SEMICON Japan 2023」にて、「日本半導体産業の発展に向けて 半導体を取り巻く先端開発」と題した講演が行われた。本稿では、その中から、Japan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)社長の堀田祐一氏と、Rapidus シリコン技術本部 専務執行役員 シリコン技術本部長の石丸一成氏の講演内容を紹介する。
Rapidusは枚葉式で「世界最速のサイクルタイム」を目指す
Rapidusの石丸氏は、「Rapidusの現在地」として事業への考え方を説明した。
生成AI(人工知能)をはじめとするAI技術が大きな盛り上がりを見せる中で、石丸氏は「AIを半導体でどうサポートするかということが重要なテーマになる」と考える。これまではどの用途も汎用チップで賄ってきたが、消費電力が非常に大きいため、より低消費電力な用途ごとの専用チップへの移行が進むと予測しているという。そうした状況では「各用途に対応できるチップをできるだけ早く提供しなければならない」として、「Rapidusは世界最速のサイクルタイムを提供したい」と熱弁した。
顧客の製品設計のサポートからウエハー製造、パッケージングといった各工程でのタイムパフォーマンスを向上させる他、設計段階ではAI技術なども活用する可能性があるとした。製造段階においてはプロセスの効率化や先進技術の導入、品質管理が必要だとする。パッケージング段階においては、高密度化や自動化、サプライチェーンの最適化などが重要だと説明した。
石丸氏は「ファウンドリー、ファブレス、後工程のプレイヤーにはそれぞれ異なる文化があり、使う言葉も違う。目に見えないこの大きな壁を取り払ってデザインからパッケージングまでをシームレスに提供したい」と語る。製造と設計の協調という意味ではもともとDFM(Design for Manufacturing、製造のしやすさを考慮した設計)という考え方があるが、Rapidusは製造側から設計側へのフィードバックも含めた双方向性のある考え方として「DMCO」(Design Manufacturing Co-Optimization、設計と製造の同時最適化)を提唱する。
DMCOを実現するための具体的な方法としてRapidusは、試作段階で多数のウエハーを同時に処理するバッチ式ではなく、1枚ずつ処理する枚葉式を取り入れることが有効だとする。バッチ式では処理枚数が多いためどの工程でも所要時間が長くなるが、枚葉式であれば各工程を数分で終えることができる。そのため、条件を変えて試作を繰り返すというプロセスをより短期間で実行できるという考え方だ。これまでは大量のデータを処理することが難しく、枚葉式のハードルが高かったが、コンピューティング技術の進歩によってビッグデータの処理が容易になった。そのデータを用いて設計を見直すことでDMCOが実現するという。試作段階であれば設計変更の自由度も高いため、量産に近づいてから修正を行うよりも簡単に性能を向上させられ、サイクルタイムを短縮しやすいとRapidusは考える。
Rapidusは2023年9月1日、北海道千歳市に建設する工場の起工式を開催した。石丸氏は「まさに今、rapid(迅速)に工場建設を進めている。完成後はDMCOの実現を目指す」とした。
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