マーベルが国内戦略に言及、車載Ethernet事業に注力:ゾーンアーキテクチャへの採用を見据え
マーベルジャパンは2023年12月12日に開催した記者説明会で、国内では車載Ethernet事業に注力すると強調した。車載Ethernetは、自動車のE/Eアーキテクチャの進化に伴い採用拡大が見込まれる、成長市場になっている。
米Marvell Technologyの日本法人であるマーベルジャパン(以下、マーベル)は2023年12月12日、都内で記者説明会を開催。車載Ethernetを今後の国内注力分野に定め、事業を強化すると語った。
マーベル カントリーマネージャー兼セールス副社長のMike Buttrick氏はMarvell Technology(以下、Marvell)の強みについて、「セキュアスイッチやギガビットイーサネットなど、業界最多水準の車載Ethernet製品群を持つことだ」と説明した。
Marvellは、累計1億5000万個以上のEthernet製品を販売。世界の自動車メーカーの45社以上に採用されていて、4000万台以上の量産車に搭載されている。国内自動車メーカーでは、5社が同社製品を採用しているという。
自動車業界は、CASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)やMaaS(Mobility as a Service)など、「100年に一度」といわれる変革期を迎えている。これらのメガトレンドに必要な技術とされるのが、車載Ethernetだ。
その背景として、自動車のE/E(電気/電子)アーキテクチャが、ECU(電子制御ユニット)を機能領域ごとに配置する「ドメインアーキテクチャ」から、高性能なECUを中央に配置する「ゾーンアーキテクチャ」に移行していることが挙げられる。中央集約型のゾーンアーキテクチャにより、車載ネットワークには大量のデータが高速で行く交うことになる。その高速/大容量のデータ通信に対応すべく、ゾーンアーキテクチャでは車載Ethernetの採用が進むとされている。
Marvellは、欧米においてゾーンアーキテクチャを採用する自動車メーカーの割合は、2025年までに40%、2029年までに80%以上に上ると予測している。また、Ethernetポートの出荷数は、2023年から2030年までの7年間で、年平均成長率24%で増加する見込みだ。
一方で、日本は、ドメインアーキテクチャからゾーンアーキテクチャへの移行が「2世代(約10年)遅れている」(マーベル)という。日本が遅れている理由について、マーベル 自動車セールス&マーケティング ディレクターの遠藤千里氏は「個人的な意見も含まれるが」と前置きをした上で、「日本と欧米の違いは、自動車から取得する情報にどれだけ価値を感じるかの違いだ。例えば、Teslaでは、自動車から得られるデータをAI(人工知能)のトレーニングに使用し、自動運転や歩行者検知システムなどの改良を行っている。しかし、日本では、データの用途を見いだせていない」と説明した。
マーベルによると、日本におけるゾーンアーキテクチャの採用は、ある1社が2024年に量産車に採用するものの、国内全体での本格的な採用は2026年以降になる見込みだ。
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