SynopsysがRISC-V市場に攻勢、シミュレーションツールベンダーの買収で:Imperas Softwareを傘下に(1/2 ページ)
Synopsysが、RISC-Vのシミュレーションツールを手掛けるImperas Softwareを買収した。RISC-Vを採用したプロセッサIP「ARC-V」を発表したばかりのSynopsysは、RISC-Vのエコシステム形成に力を入れる。
Synopsysは、Imperas Software(以下、Imperas)を買収し、RISC-Vエコシステム全体の製品を構築するという使命に取り組んでいる。Imperasは、EDA業界のベテランであるSimon Davidmann氏によって2005年に設立された。ソフトウェアエンジニア向けにマルチコアシミュレーションツールを提供する企業で、近年はRISC-VのシミュレーションおよびIP(Intellectual Property)検証ツールの開発と提供に注力してきた。
Imperasのソリューションは、あらゆる主要なアーキテクチャに向けたシミュレーションやデバッグ、テストに対応するが、特に、最近「ARC-V」プロセッサIPでRISC-V業界に参入したSynopsysにとって、RISC-Vに対応するシミュレーションツールなどを手掛けるImperasの専門知識は、重要だったといえる。さらに、Imperasは最近、RISC-VモデルライブラリにTenstorrentのプロセッサコア「Ascalon」を追加したことや、MIPSやVentana Micro、Dolphin Designなどのさまざまな企業とRISC-Vアプリケーション関連で提携したことなども発表している。
Imperasは自社のWebサイト上で、Synopsysの傘下に入ったとする声明を出しているが、それ以外の取引については公式発表していない。Synopsysは、以下のような声明を発表している。
「Synopsysは2023年12月12日に、RISC-VプロセッサモデルやRISC-V検証ソリューション、ソフトウェアシミュレーション向け仮想プロトタイプなどのプロバイダーであるImperasを買収した。この買収により、SynopsysのRISC-V向け検証ソリューションを拡充し、RISC-Vベースの高性能SoC(System on Chip)やマルチダイシステムの初期段階におけるソフトウェア開発や機能検証などに関する顧客要件に対応できるようになる。Imperasは、Synopsysのシステムデザイングループの一部であるシステムソフトウェアグループに加わる。その他の詳細や金銭的条件などについては公開していない」
さらに、Synopsysのシステムデザイングループ担当ゼネラルマネジャーを務めるRavi Subramanian氏は、事前に準備していた声明の中で次のように述べている。
「自動車やコンシューマー、HPC(高性能コンピューティング)などの市場で、ソフトウェア定義の製品への移行が進む中、システムメーカーと半導体メーカーはいずれも、特定のソフトウェアワークロード向けに最適化されたカスタムコンピュートソリューションの開発を進めているところだ。Synopsysは、Imperasを買収することにより、ArmおよびRISC-VベースのCPUに向けた超高速プロセッサモデリング技術を用いて、仮想プロトタイプとハードウェア支援検証ソリューションの両方を向上させていく。この共同ソリューションにより、初期段階のソフトウェア開発やテストを実現できるだけでなく、CPUセントリックなシステムの検証を加速することも可能になる」
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