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インタビュー

MIPSが新CEOの下で戦略を刷新 RISC-Vに軸足を移す登場から40年(1/2 ページ)

MIPSアーキテクチャが市場に投入されてから、ことしでちょうど40年になる。その間、さまざまな浮き沈みを経験したMIPだが、2023年に就任した新CEOの下、新しい戦略を展開しようとしている。

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 MIPSは、米国ラスベガスで2024年1月9〜12日(米国時間)に開催された「CES 2024」において、同社の新しい戦略的目標とリブランドについて発表した。AI(人工知能)中心の新たな世界において、「コンピュータアーキテクチャの差別化を目指す設計者たちに、“支配権”を返す」という使命に基づき、その実現に向け、RISC-Vアーキテクチャ特有のメリットを活用していくという。

MIPS CEOのSameer Wasson氏
MIPS CEOのSameer Wasson氏

 MIPSのCEO(最高経営責任者)であるSameer Wasson氏は、米国EE Timesのインタビューの中で、「現在は、ムーアの法則が減速し、柔軟性に欠けるクローズドアーキテクチャによってイノベーションが妨げられている。今後5〜10年は、アーキテクチャに再び革新を起こすことで、AI中心の世界においてこれらの問題を解決できるようにするための期間となるだろう。既存のソリューションは、コンピューティングや古典的な処理を中心とした世界に存在し、AIを搭載しないウェブアプリケーション向けに構築されたものだ。現在では誰もがAIを実行し、AIが処理を行っている」と述べている。

 Wasson氏は、CES 2024のためにラスベガスへ向かう直前にEE Timesのインタビューに応じ、会場で顧客企業や市場に向け、“コンピューティングにイノベーションを起こす自由”を中心とする同社の焦点について概要を説明する予定だとした。

MIPSの登場から40年

 John Hennesey氏とChris Rowen氏、Skip(Edward)Stritter氏、John Moussouris氏の4人が創設したMIPS Computer Systemsが、1984年にMIPSプロセッサアーキテクチャを市場に投入してから、40年がたつ。MIPSはそれ以来、所有者が数回変わり、最終的に2021年に独立した。同社は独立直後に、ゆくゆくはRISC-Vアーキテクチャを採用する方向へ軸足を移していくことを明かし、RISC-Vベースの新型IPコア「eVocore P8700」と「eVocore I8500」の2品種を発表した。

 MIPSは、2013年にImagination Technologiesに買収されて以来、さまざまな浮き沈みを経てきたが、2023年にWasson氏が新CEOに就任し、さらに2024年1月、経営幹部としてDrew Barbier氏とBrad Burgess氏の2人(両氏ともSiFiveから移籍)を迎え入れたことを発表した。そして、今こそブランドをリセットすべき適切なタイミングだと考えたのだろう。MIPSはCES 2024において、「設計者たちにコンピューティングのイノベーションを起こす自由を提供する」という同社の使命を反映させた新しいブランド戦略を発表し、Wasson氏の下で全般的な方向性を打ち出した。

 同氏は公式発表の中で、「MIPSは、自動車やデータセンター、組み込みなどの市場において、顧客企業にコンピューティングのイノベーションを起こす自由を提供している。例えば、オープンアーキテクチャを選択し、1つのISA(命令セットアーキテクチャ)による制約を受けないといった自由が挙げられる。われわれは、顧客企業がRISC-Vアーキテクチャなどのオープンソース標準規格を使用して、ソフトウェアコードベースを移行できるようサポートしている。重要なのは、物事をより迅速かつ効率的に進めるだけでなく、新たな可能性を解放し、複雑な計算問題を解決して、次なる可能性の限界を押し広げていくことだ」と述べる。

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