村田製、23年度Q3は減益 能登地震でQ4に最大50億円のマイナス影響:スマホ向け売り上げが増加も(2/2 ページ)
村田製作所の2023年度第3四半期決算は、売上高は前年同期比4.9%増の4394億円、営業利益は同2.9%減の762億円だった。通期業績予想は据え置く。通期では能登半島地震によって30億〜50億円程度のマイナス影響を見込んでいる。
コンデンサーはスマホ/モビリティ向けで受注が好調
今期は受注高が売上高を下回り、出荷額に対する受注額の割合を示すBBレシオは0.95だった。一方、コンデンサー単独ではスマホやモビリティ向けで受注が伸び、BBレシオは1.03に改善した。受注残が前四半期比で減少しているのは、為替の影響が大きいという。
コンデンサーやインダクターの売り上げは回復傾向
事業別に見ると、前年同期比ではほとんどのセグメントで増収となった。「コンデンサー」の売上高は同8.4%増の1981億円、「インダクター・EMIフィルター」は同11.0%増の482億円、「高周波・通信」は同14.5%増の1309億円と改善傾向にある。「機能デバイス」は同3.0%増の228億円、「その他」は同18.1%の29億円だった。唯一減収となった「エナジー・パワー」は同32.2%減の366億円と大きく落ち込んだ。
前四半期と比較すると、コンデンサーとインダクター・EMIフィルターはほぼ横ばいだった。コンデンサーは積層セラミックコンデンサー(MLCC)が好調で、売上高はAV機器向けで減少したもののスマホやモビリティ向けで増加し、前四半期比0.5%増となった。インダクター・EMIフィルターはモビリティ向けで増加したもののウェアラブル機器やAV機器向けで減少し、同0.5%減少した。高周波/通信は高周波モジュールがスマホ向けで増加し同2.5%増加した。エナジー・パワーはリチウムイオン二次電池がゲーム機向けで減少し、同15.2%減となった。機能デバイスはセンサーがモビリティやスマホ向けで減少し、同3.2%減少した。
通信/モビリティ/コンピュータ向けが上向く
用途別に売上高を見ると、「家電」「産業・その他」は前年同期比、前四半期比ともに大きく減少した。「通信」「モビリティ」「コンピュータ」はいずれも回復傾向にあり、前年同期比、前四半期比ともに増加した。
スマホ向け部品の需要が「想定以上に改善」
事業環境の認識としては、スマホ向け部品の需要が想定以上に改善していて、コンピュータ市場やモビリティ市場は想定通りだとした。一方、パワーツール市場の在庫調整は続いていて、家電向けや産業機器向けの部品需要は想定を下回っているという。製品価格の値下がりは第4四半期を含めほぼ想定通りに推移しているとした。
主力の積層セラミックコンデンサー(MLCC)の市況について、村田製作所 セラミックコンデンサ事業本部 本部長の大森長門氏は「モビリティ向けの需要は一定の成長が続いている」とし、「(MLCCには)『村田製作所にしか作れない』という領域がある。そうした製品の生産体制をより強固にする準備を進めている」とした。
2024年度以降、中長期的に拡大を期待する市場として、中島氏は「ミドルレンジ/ローエンドのスマホ市場の成長を確実視している」としたほか、「モビリティ市場はドローンやxEV(電動車)がけん引してくれるだろう」「データセンターへの投資が進むことで、AIサーバの需要が急激に広がると見込んでいる」と述べた。
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