OLEDが「快進撃を継続」も、液晶は引き続き大幅赤字 JDI決算:3Q累計の純利益は380億円の赤字(3/4 ページ)
ジャパンディスプレイ(JDI)の2023年度第3四半期(2023年10〜12月)連結決算は、売上高が前年同期比13%減の605億円、営業利益は同44億円増で62億円の赤字、純利益は同35億円減で93億円の赤字となった。
OLEDは23年度通期で76%成長見込み
決算説明会で同社は、OLED事業が「快進撃を継続」していることを強調した。現在、ディスプレイ市場では液晶からOLEDのシフトが進んでいるが、坂口氏は、「OLED自体が業界として成長産業である環境の中、JDIのOLEDにおける技術的な優位性が確立されつつある」と説明。顧客からの引き合いが旺盛で、市場シェアも着実に拡大中だという。同社は2023年度通期では同事業の売上高が前年度比76%と大幅に拡大し、2024年度以降も成長も続けることを見込んでいる。
JDIはOLED事業において既に黒字化を達成しているが、今後の成長の大きなけん引役と見ているのが、同社の独自技術である次世代OLED「eLEAP」だ。現在、同社のOLED生産の稼働率は100%と「顧客からの需要が生産能力を超過している状況にある」(坂口氏)。追加需要に対しては、まずは2024年度に茂原工場(千葉県蒲原市)で立ち上げ予定のeLEAP量産ラインで、対応していく方針だという。
また、同社は2023年9月に中国安徽省蕪湖市の蕪湖経済技術開発区と共同で中国内にeLEAPの大規模工場を立ち上げる覚書(MOU)を締結し、最終契約締結に向けた協議を進めている。この中国工場が実現すればeLEAPの生産能力は50倍以上拡大できる見込みで、坂口氏は、「顧客の旺盛な需要に応える体制を築くことができる」と語った。なお、この協議については2023年12月に、最終契約締結日を2024年3月まで延期することを発表しているが、今回、坂口氏は、「協議は現在順調に進行中だ」と説明していた。
液晶は大幅赤字、「抜本改革は必要不可欠」
一方で、液晶事業は引き続き大幅赤字であり「飛躍的な収益改善に向けたさらなる抜本改革は必要不可欠」としている。同社は、今度も『聖域なきコスト削減』を進める他、独自技術を活用した新技術/新商品/新事業の創出および、規模の経済性を確保するための工場稼働率の向上を進めていくとしている。
この他、盤石な収益基盤の構築に向け「思い切ったビジネスモデル改革」も推進していくと説明。その一例として2024年2月に発表した、スマートリングを使った健康見守りサービス「Virgo(ヴァ―ゴ)」を紹介した。
また、収益改善以外にも、同社が得意とする高性能な低温ポリシリコン(LTPS)パネルの需給が逼迫していることや、業界においてサプライチェーンの国際分散化が進んでいることにも言及。坂口氏は、「こうした市場の動きは全て、当社にとって大きな機会だ。これらの機会を工場の稼働率の向上につなげる。また、これらは業界の再編にもつながりかねない要素であり、動向を注視しつつ、着実に収益性改善につなげていきたい」としている。
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