「5Gではビジョンだったもの」が現実に キーサイトが6Gの可能性を強調:非地上系ネットワークが大きな差に(1/2 ページ)
キーサイト・テクノロジーは2024年2月、都内で記者説明会を開催。Keysight Technologies(以下、Keysight)で6G Program Managerを務めるRoger Nichols氏が、6G(第6世代移動通信)の標準化の最新情報や、6G実現で鍵となる技術などについて語った。
キーサイト・テクノロジーは2024年2月20日、6G(第6世代移動通信)の技術動向を紹介する説明会を開催した。Keysight Technologies(以下、Keysight)で6G Program Managerを務めるRoger Nichols氏が登壇し、「6Gは、人とサイバー空間、物理空間のコネクションをより強化するものだ。5G(第5世代移動通信)では“ビジョン”として語られていたものが、6Gでは(社会実装されて)主流になっていく」と、6Gを総括した。
Nichols氏は、6Gの必要性について「モバイルサービスの加入契約数とデータトラフィックが右肩上がりで増加していること」や、「モバイルネットワークの活用がエンタープライズや農業、金融といった産業分野、ヘルスケアや教育、交通輸送といった社会インフラにも拡大していること」を挙げた。「データトラフィックは、2029年には、1カ月当たり426エクサバイト(1×1018バイト)にまで増加する見込みだ。こうした背景から、より高速で低遅延、低容量から大容量の通信まで対応できる柔軟性のあるモバイルネットワークが不可欠になる」(Nichols氏)
実装可能な6Gの仕様は「リリース21」で策定
6Gの仕様に関する議論は既に始まっている。3GPP(Third Generation Partnership Project)は2024年初頭からリリース19の標準化策定を開始していて、Nichols氏によれば、6G関連の議論も一部、行われているという。2025年には、6Gの一部の規格を含むリリース20が発表される予定で、続くリリース21で、実装可能な6Gの仕様が出来上がってくると同氏は述べる。
テラヘルツ波の活用は、まずはFWAなどを想定
Nichols氏は、6Gで鍵になる技術として、新しい周波数帯域やネットワークトポロジー、AI(人工知能)を挙げた。
5Gではミリ波を活用しているが、6Gでは90G〜300GHzのサブテラヘルツ帯の活用が検討されている。これにより、5Gのミリ波の10倍以上広い帯域幅を利用することが可能になるからだ。ただし、Nichols氏は、サブテラヘルツ帯の活用は「FWA(固定無線アクセス)やバックホール、センシングといった、“ポイント・ツー・ポイント”の用途から使われるのではないか」と指摘する。ミリ波は、モバイルネットワーク向けとしては扱いにくく、5GではFWA(固定無線アクセス)での活用に偏っているが、それと同様の課題をテラヘルツ波も抱えることになりそうだ。
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