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これは確かに「スマートなホーム」だ NXPがCESで示したMatterの可能性専門家は急速な市場成長を予測(1/2 ページ)

2022年10月にバージョン1.0がリリースされた、スマートホーム規格「Matter」。これまでは、Matterの真の利便性を示すことができるデバイスがほとんど存在しない状態が続いていたが、NXP Semiconductorsが「CES 2024」で展示したデモでは、Matterで実現するスマートホームの可能性が示されていた。

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 Connectivity Standards Alliance(CSA)によるスマートホーム規格「Matter」は、2022年10月に最初のバージョンがリリースされた。2023年を通じて、Matter対応の新たなデバイスが発表されたが、この技術の価値や汎用性を完全に示すことができたデバイスはほとんどなかった。その後、年が明けて間もなく米国ネバダ州ラスベガスで開催された「CES 2024」で、CSAの参画企業の一つであるNXP Semiconductors(以下、NXP)が、Matterの可能性を展示した。具体的には、Matterによって、自宅のIoT(モノのインターネット)機器が“単なるスマートデバイス/コネクテッドデバイスの寄せ集め”から、どう進化していくのを示したのである。

互換性を確保する「Matter」

 Matterは、デバイスの互換性と相互運用性を確立する目的で策定された規格だ。その背景には、現在市場にスマートホーム関連の技術が複数存在し、競合していることがある。

 Matterでは、イーサネット(IEEE 802.3)、Wi-Fi(IEEE 802.11)、Thread(IEEE 802.15.4)、Bluetooth Low Energyの4つが基盤の通信技術となっていて、Matterに準拠したデバイスには、上記のいずれかが使われていることになる。

 Matterの基本的な考え方は、クラウドにデータを上げることなくローカルで基本的な制御を行う、ということだ。実際、前述した4つの通信技術のうち最初の3つはインターネットプロトコルであり、主にデバイス間の通信に使われている。ネットワークトポロジーは、コントローラーとデバイス間に加え、Threadを使えばメッシュネットワークとして構成し、ネットワークフットプリントを増やすこともできる。クラウドサービスは拡張機能のために使うことができる。拡張機能の例としては、スマホアプリを介したリモート制御や、ニューラルネットワークモデルの学習や再学習が挙げられる。

 Matterは自宅の機器を制御するための規格なので、ハッキングのリスクを排除する(少なくとも最低限に抑える)ことも重要だ。デバイスのペアリングやセットアップには、11桁のコードが必要になる。

 「自宅の完全な自動化」というMatterの目標を達成するには、同規格に対応するデバイスの数をある程度まで増やすことが必要だ。2022年にVersion 1.0がリリースされた際、Matterに準拠するデバイスには、照明、電気、暖房/空調、ブラインド、センサー、ドアの鍵、メディアプレイヤー、ブリッジが含まれていた。

 最後のカテゴリーであるブリッジは、ZigbeeやZ-Waveのようなレガシー規格を使用する旧型のスマートホームデバイスとの後方互換性を確保する上で重要だ。2023年10月のVersion 1.2のリリースでは、さらにデバイスカテゴリーが追加され、冷蔵庫や食器洗い機、洗濯機、空気洗浄機、エアコン、ロボット掃除機、扇風機、空気質センサー、火災/一酸化炭素警報器なども含まれるようになった。CSAは、デバイスカテゴリーをさらに追加する予定だとしているが、リリース時期についてはまだ発表していない。

「Matter 1.2」のイメージ
「Matter 1.2」のイメージ[クリックで拡大] 出所:Connectivity Standards Alliance(CSA)

 こうした全てのデバイスに対してコマンドと制御を提供するコントローラー機能は、SmartThings Hubのようなワイヤレスハブの他、「Amazon Echo」や「Apple HomePod」、第2世代の「Google Nest Hub」などの市場に出回っているさまざまなスマートホームハブに統合することが可能だ。

 matter-smarthome.deによると、70社を超える機器メーカーがベータテスト中またはリリースしたと発表したデバイスの数は合計で約180に上り、デバイスカテゴリーは15種類に及ぶという。

 利用可能なデバイスの詳細については、こちらのサイトから確認できる。

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