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表面実装型電子部品(SMD部品)の開発動向(後編)福田昭のデバイス通信(450) 2022年度版実装技術ロードマップ(74)(1/2 ページ)

後編となる今回は、「セラミックコンデンサの高容量化・低ESR化、薄型化」や「チップ抵抗器の高電力化」について解説する。

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ご注意
 今回は前編の続きです。まず前編を読まれることを強く推奨します。


積層セラミックコンデンサとチップ抵抗器の動向

 前編(前回)では、第4章第1節第2項(4.1.2)「技術動向」から、「4.1.2.1 インダクタのインダクタンス値の拡大」の概要をご報告した。電源用、信号用、高周波用の応用分野別に、チップインダクタの製品動向を予測した。後編(今回)は、「4.1.2.2 積層セラミックコンデンサの高容量化・低ESR化、薄型化」と、「4.1.2.3 チップ抵抗器の高電力化」の概要を解説する。

第4章第1節第2項「技術動向」の構成
第4章第1節第2項「技術動向」の構成[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)

容量拡大とESL低減、薄型化を進めるMLCC

 はじめは積層セラミックコンデンサ(MLCC:Multi -Layer Ceramic Capacitor)の開発動向である。MLCCは寸法が小さい、周波数範囲が広い、寄生抵抗が低い、寿命が長いといった特長を備える。

 MLCCは誘電材料の違いによって容量が大きな「高誘電率系」と温度変化による容量変化が小さな「温度補償用(低誘電率系)」に分かれる。

 MLCCの弱点は静電容量が低いことだ。このため、最近は体積当たりの静電容量を高める動きが活発になっている。「高誘電率系」MLCCの静電容量密度は1998年〜2008年の10年で10倍に急拡大した。その後は20年で10倍と拡大ペースが低下したものの、容量密度の向上は続いている。

 具体的な数値で見ていくと、1立方ミリメートル(1mm3)当たりの静電容量は1998年には1μF前後だった。それが10年後の2008年には10μFを超え、10倍以上に容量が拡大した。2020年には50μFと12年間で50倍に向上している。今後も容量の拡大は続き、2028年には100μFを超えると予測する。

 製品としては2018年5月に太陽誘電が「4532(4.5mm×3.2mm×3.2mm)」サイズで静電容量が1000μFの高誘電率系MLCCを発表している。

1立方ミリメートル当たりの静電容量の推移と予測(高誘電率系MLCC)
1立方ミリメートル(1mm3)当たりの静電容量の推移と予測(高誘電率系MLCC)[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)

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