表面実装型電子部品(SMD部品)の開発動向(後編):福田昭のデバイス通信(450) 2022年度版実装技術ロードマップ(74)(2/2 ページ)
後編となる今回は、「セラミックコンデンサの高容量化・低ESR化、薄型化」や「チップ抵抗器の高電力化」について解説する。
また等価直列インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)を低くする要求に応え、最近では電極の配置を短辺側から長辺側に変更した「LW逆転型」、端子を長辺側に複数配置した「多端子型」、貫通電極端子と接地電極端子による「三端子型」のMLCCが商品化された。
「LW逆転型」は電極の幅を広く長さを短くすることでインダクタンス値を下げている。従来品に比べるとESLは約3分の1に減少する。「多端子型」は多数の細い電極を本体側面に設けてある。隣接する電極で極性を逆にすることで電流によってインダクタンスを相殺する。従来品に比べてESLは8分の1〜10分の1と大きく減る。
「三端子型」は貫通電極層と接地(GND)電極層を交互に重ねた構造をしており、本体の短辺側側面に貫通電極、長辺側側面中央に接地電極を設けてある。この構造だと接地電極の距離が短く、寄生インダクタンスが極めて小さくなる。ESLは従来品の10分の1以下に減少する。
「三端子型」MLCCの構造図。左上が外観。左下と右上が内部構造(分解図と組み立て完了図)。右下が等価回路[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)
MLCCではこのほか、厚みを減らす薄型化(低背化)が進んでいる。半導体パッケージ内部あるいは裏面への搭載、基板への内蔵といった用途で薄型化(低背化)の要求が強い。例えば「1005M」サイズのMLCCは標準品の高さが最大550μmであるのに対し、薄型品は同一の定格電力で高さが最大110μmと約5分の1に大幅に低くなっている。「0603M」サイズでも110μm品が市販されている。将来は高さを60μmに下げた「超薄型品」が登場すると見込まれる。
定格電力を高めるチップ抵抗器
次はチップ抵抗器の開発動向を説明しよう。各種性能を維持した状態で小型化することがチップ抵抗器には要求される。特に重要なのは同じサイズでの定格電力向上、あるいは同じ定格電力でのチップサイズ縮小である。
「1608M」サイズと「1005M」サイズのチップ抵抗器(汎用品)は2001年の時点では定格電力がともに0.063Wだった。それが2016年には「1608M」サイズが0.125W、「1005M」サイズが0.1Wへと定格電力が上昇した。
また放熱経路を拡大する(熱抵抗を下げる)目的で電極を短辺側から長辺側に移した「長辺電極タイプ」のチップ抵抗器が開発された。例えば定格電力0.5Wで比べると、「長辺電極タイプ」のサイズは「0816M」であるのに対し、「短辺電極タイプ(高電力型)」のサイズは「3226M」となり、面積では6.5倍もの違いが生じる。また短辺電極タイプである「1005M」サイズの定格電力が0.25W(高電力タイプ)であるのに対し、長辺電極タイプである「0510M」サイズの定格電力は0.33Wに高まる。
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