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「30年に3000億円規模」のシリコンキャパシター市場、後発ロームが見いだす勝機とは独自の半導体加工技術が生む強み(1/3 ページ)

ロームは2023年9月、独自技術を採用したシリコンキャパシターを発表し、同市場に参入した。後発として市場に挑むロームに戦略を聞いた。

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 次世代コンデンサーの「主役」として注目され、車載や産業機器そして、スマートフォンなどの民生機器で採用が拡大するシリコンキャパシター。2023年9月、ロームが独自技術を採用した同社初のシリコンキャパシターを発表し、この市場に参入した。ロームはシリコンキャパシター市場が2030年には3000億円規模にまで拡大すると見込み、シェアの獲得/拡大を狙っている。今回、参入を決めた理由や同社の強みとなる技術など、後発として市場に挑むロームに戦略を聞いた。

シリコンキャパシターの特長と市場成長の見込み

 「シリコンキャパシター(シリコンコンデンサー)」は、その名の通り、シリコン半導体プロセスによって製造するキャパシターだ。構造としてはMLCC(積層セラミックコンデンサー)などの一般的なキャパシターと同様で、誘電体を電極で挟み込んだものだが、この誘電体にシリコンの酸化物や窒化物を用いる。

 半導体プロセスで製造するシリコンキャパシターは加工が容易で、トレンチ構造など内部構造を形成することで、単位体積当たりの静電容量を増加できる。また、MLCCでは静電容量を向上させる場合、内部電極が印刷されたシートを積層していく必要があるため、製品高さを低くすることは難しいが、シリコンキャパシターは薄膜半導体技術を活用することで低背化が可能であるほか、材料がシリコンのため温度変化や直流電圧の印加による静電容量の変化が少なく、さらに、高周波特性や信頼性も高いなど、多くの利点を備えている。

シリコンキャパシターの特長
シリコンキャパシターの特長[クリックで拡大] 出所:ローム

 一方で、MLCCなどと比較し高いコストが課題とされてはいるが、この特性から車載や防衛、医療、高速通信など(産業機器向けに分類)の高い信頼性が要求される分野での採用が進んでいる他、スマートフォンおよびウェアラブル機器など小型かつ高性能が求められる民生機器でも採用が加速している。

 ロームの調査によると、シリコンキャパシター市場は2022年の2030年まで年平均成長率(CAGR)4.6%で成長を続け、2030年には3000億円規模に達すると予測されるという。市場の分野別内訳を見ると、現在車載向けが4割弱、産業機器向けが4割弱、スマホを含む民生機器が2割程度となっていて、今後もスマホの高機能化やIoT(モノのインターネット)の普及および自動車の電装化が進み、同様のシェアを維持しつつ市場が拡大していく見込みだとしている。

シリコンキャパシター市場成長の見込み
シリコンキャパシター市場成長の見込み[クリックで拡大] 出所:ローム

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