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CHIPS法、次の大型支援獲得はMicronか アナリストの見解TSMCやSamsungへの支援も重要に(1/2 ページ)

「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)に基づく米国政府の半導体企業支援の今後の見込みについて、米国EE Timesがアナリストらに聞いた。アナリストらによると、Micron Technologyが次に大型の支援を獲得する見込みだという。

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 Intelは2024年3月、米国の半導体産業支援策「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)に基づき、米国政府から最大約85億米ドルの補助金と最大約110億円の融資、合わせて200億米ドル近くの支援を受けると発表した。CHIPS法に基づく単一の半導体メーカーへの資金提供としては最大額となる。

 米国EE Timesの取材に応じたアナリストらによると、Micron Technology(以下、Micron)もCHIPS法によって支援を受ける見込みで、その額はIntelより少し低い程度と予想されるという。TSMCとSamsung Electoronics(以下、Samsung)は、さらに少額の支援を受ける見込みだ。

 技術調査会社TechInsightsでシニアフェローを務めるDan Hutcheson氏は「米商務省長官のGina Raimondo氏は、『2030年までに米国が先端半導体の世界シェアの20%を獲得する』という目標を掲げている。Intelへの資金提供はその達成に向けた重要な起爆剤になる」と指摘した。同氏はさらに「Intelの計画の幅広さには感心する。複数の州にまたがるだけでなく、パッケージング技術も含まれている。パッケージング技術は先端半導体がシングルダイのモノリシック集積からマルチダイのポリリシック集積に移行する際に重要な要素となる。これらは旧世代のチップではなく、チップレットベースだ」と述べている。

Intel CEO(最高経営責任者)のPat Gelsinger氏(写真左)と米国バイデン大統領(写真中央)
Intel CEO(最高経営責任者)のPat Gelsinger氏(写真左)と米国バイデン大統領(写真中央)[クリックで拡大] 出所:Intel

次の大型支援はMicronが獲得か

 CHIPS法では、米国の半導体製造、特に先端半導体の生産を復活させるために380億米ドルの補助金を提供する。米商務省は現在までに、軍需企業のBAE Systemsに対してはニューハンプシャー州にある半導体工場の拡張のために3500万米ドルを、Microchip Technologyに対しては米国でのマイコン生産強化のために1億6200万米ドルを提供することで合意している。両社とも防衛機器向け半導体を製造している。さらに最近の例では、米商務省はGlobalFoundries(以下、GF)に15億米ドルを提供することで合意した。GFとIntelが獲得した補助金は、CHIPS法の資金全体の4分の1以上を占める。

 Hutcheson氏は、次に大型支援金を獲得するのはMicronになるとみている。「広帯域幅メモリ(HBM)は先端半導体製造のもう1つの重要な要素であり、HBMがなければパッケージングはほとんど意味のないものになる。Micronなくしては、半導体の世界シェア20%という米国の目標を達成できるかどうか疑わしい」(同氏)としている。

 Hutcheson氏は、米国はMicronの後、TSMCとSamsungへの確実な支援も考慮する必要があると指摘する。アジア企業は米国に新しい半導体工場を建設しているが、地政学的理由から最先端の研究開発施設と製造技術は自国に置いている。米国は、近年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックで露呈した地政学的リスクやサプライチェーンのリスクを踏まえ、アジアから半導体製造能力を引き離したい考えだ。米国バイデン大統領は、Intelへの補助金を発表した際「最先端半導体を発明したのは米国であるにもかかわらず、現在それらは国内では一切製造されていない。最先端半導体の製造はほぼ全て、アジアへ移管されてしまった」と述べた。

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