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中国政府の「Intel/AMD禁止令」、中国企業への強い追い風にアナリストの見解(1/2 ページ)

中国政府は2024年3月、政府機関向けのPCやサーバにIntelとAMDのCPUを使用することを使用することを禁じるガイドラインを発表したという。この措置は、Intel/AMDの競合にあたるHygon Information Technologyのような中国企業の売り上げ拡大を後押しするとアナリストらは指摘している。

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 中国政府は2024年3月、政府機関向けのPCやサーバにIntelとAMDのCPUを使用することを使用することを禁じるガイドラインを発表したという。 この措置は、Intel/AMDの競合にあたるHygon Information Technology(以下、Hygon)のような中国企業の売り上げ拡大を後押しするとアナリストらは指摘している。

IntelとAMDには打撃

Bernstein Research シニアアナリスト Stacy Rasgon氏
Bernstein Research シニアアナリスト Stacy Rasgon氏[クリックで拡大] 出所:Bernstein Research

 英Financial Timesは2024年3月24日(英国時間)、中国が政府機関向けのPCやサーバへのIntelとAMDのCPUの使用を制限する方針を発表したと報じた。この報道を受け、米国EE TimesはIntelとAMDにメールで問い合わせたが、Intelからはコメントを拒否する旨の返信があり、AMDからは返信がなかった。

 Bernstein ResearchのシニアアナリストであるStacy Rasgon氏は、米EE Timesに提供した報告書の中で、「この禁止措置によって、世界のPC出荷総数が数パーセント減少する可能性がある」と述べている。同報告書によると、Intelの2023年の売上高の3分の1にあたる約150億米ドル、AMDの同年売上高の15%にあたる34億米ドルが中国向けのものだ。

 一方で、「中国は最終的に米国の半導体を全面的に禁止するのか」という疑問に対しては、Rasgon氏は「そうは思わない。それは不可能だ。中国は米国の半導体を必要としている」と答えている。

中国が本気で取り組む「インフラの脱米国化」

 今回の中国の禁止措置は、特にAI(人工知能)と5G(第5世代移動通信)分野における技術の覇権を巡る米国との競争の中で起きたことだ。Rasgon氏によると、米国が中国に対して行った半導体輸出の規制や、Huaweiなどの企業をブラックリストに加える制裁に対し、中国政府は計画的に対応してきたという。

 TechInsightsのシニアリサーチフェローであるDan Hutcheson氏によると、依然として技術戦争がエスカレートする懸念はあるという。Hutcheson氏は米国EE Timesに対し、「中国政府は技術インフラの脱米国化に非常に真剣に取り組んでいる」と語った。中国政府はAppleの『iPhone』についても今回と同様の措置を講じたことが以前に報じられている。ロイター通信の報道によると、中国でのiPhone販売台数は2024年の最初の6週間で24%急落した一方、Huaweiのスマートフォンの売り上げは急増したという。

 コンサルティング会社Albright Stonebridge Groupの技術責任者であるPaul Triolo氏によると、中国政府の禁止措置は産業計画担当者による長期的な取り組みの一環で、重要な技術で米国に依存することによるサプライチェーンのリスクを軽減し、国内の代替技術を促進するものだという。同氏は米国EE Timesに対し、「中国は、国内に現実的な代替品がないことで、特にミッションクリティカルなシステムにおいてサプライチェーンから外国のハードウェアやソフトウェアを排除できずにいた」と語った。

 同氏は、「政策の実施方法によっては、IntelとAMDの売上高への影響はPC分野よりもサーバ分野で大きくなる可能性がある。ただし、米連邦議会の一部で議論が進むHuaweiへの米国製半導体の輸出規制強化に比べれば、影響はかなり小さいと思われる」と述べている。

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