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ハイエンドスマホのプロセッサはどこまで進化した? 最新モデルで読み解くこの10年で起こったこと、次の10年で起こること(82)(1/4 ページ)

半導体投資やAI(人工知能)の話題で盛り上がる半導体業界だが、最終製品に目を向ければスマートフォンも着実に進化し、魅力的な製品が次々に発売されている。今回は、2023年後半から現在までに発売されたハイエンドスマホに焦点を当て、搭載されているプロセッサを解説する。

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 2023年以降半導体業界の話題は半導体工場建設ラッシュとAI(人工知能)プロセッサがけん引しているが、依然として最も出荷数量が大きいスマートフォンも大きな進化を続けており、魅力的なモデルが続々とリリースされている。今回は、2023年後半から2024年前半に発売されたスマートフォンについて、プロセッサを中心に報告する。なお今回報告するのはハイエンド向けプロセッサだが、最も販売台数が多いミドルハイ(性能としてハイエンドのやや下)でもスマートフォン向けプロセッサを手掛けるQualcommやMediaTekから新プロセッサが発売されている。2024年モデルはハイエンドからミドルハイまで新プロセッサに置き換わったものとなっている。

2つのプラットフォームを使い分けるSamsung「Galaxy S24」

 図1は、2024年1月に海外で発売されたSamsung Electronics(以下、Samsung)の2024年版ハイエンドスマートフォン「Galaxy S24」の様子である。Galaxy S24は海外に遅れること3カ月、日本でも発売されて大きな話題になっている。


図1:Samsungの「Galaxy S24」の外観[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 Galaxy S24の内部は2つのプラットフォームのバージョンに分かれている。日本で発売されるものはQualcomm製、多くの海外で発売されるものはSamsung製となっている。図1はSamsung製「Exynos 2400」が採用されるものである。内部の基本機能はSamsung製のチップセットで構成されている。プロセッサ、通信モデムを1シリコン化したSoC(System on Chip)、通信用トランシーバー、電源ICなど基本機能は全てSamsung製だ。またストレージメモリ、RAMもSamsung製なので“Samsung”自給率は極めて高いものとなっている。プロセッサはSamsung初のFOWLP(FAN OUT Wafer Level Package)で実装されていて、従来よりも高い性能を実現できているようだ。端子面にはシリコンキャパシターも採用されており、Appleの「Aシリーズ」とほぼ同じ構造になっている。

 図2はExynos 2400プロセッサの開封の様子である(有償のテカナリエレポートでは鮮明な写真、サイズ情報などを見られる)。シリコン上には、配線層で形成されたチップ型名「S5E9945」が刻印されている。プロセッサはSamsungの4nmプロセスで製造されていて、10コアのArm CPU、AMDのGPUアーキテクチャ「RDNA3」をベースに、モバイル向けに開発された12コアのGPU「Xclipse 940」、DSPやINT8などが組み合わされるAIエンジン(44TOPS)が搭載されている。さらに、4G/5G(第4世代/第5世代移動通信)用モデムも搭載されている。Samsungは、2023年にExynosプロセッサをリリースしなかった。Exynos 2400は、2年越しのハイエンドプロセッサである。


図2:「Exynos 2400」の開封の様子[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート
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