CHIPS補助金でTSMCがAI半導体製造へ 米国は半導体リーダーに返り咲けるか?:課題は人材不足(1/3 ページ)
TSMCに対する米国の補助金によって、米国は初のAI(人工知能)チップの生産能力を手にし、技術的リーダーシップを確立する強力なチャンスを得るとみられる。ただし、米国の半導体産業の復活のためには労働力不足が依然として大きなマイナス要因だという。米国EE Timesのインタビューでアナリストらが語った。
TSMCに対する米国の補助金によって、米国は初のAI(人工知能)チップの生産能力を手にし、技術的リーダーシップを確立する強力なチャンスを得るとみられる。ただし、米国の半導体産業の復活のためには労働力不足が依然として大きなマイナス要因だという。米国EE Timesのインタビューでアナリストらが語った。
TSMCがアリゾナ第3工場に2nm以下プロセスを導入
米商務省(DoC)は2024年4月8日(米国時間)、「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)に基づいてTSMCに66億米ドルの補助金と最大50億米ドルの融資を行う計画を発表した。これを受けて、TSMCはアリゾナ州フェニックスに第3工場を建設する他、米国での総投資額をこれまでの400億米ドルから650億米ドルに増額すると発表している。TSMCは「第3工場では2nm以下のプロセス技術でチップを製造し、米国の経済と国家安全保障を強化する」としている。米商務長官のGina Raimondo氏は米国のニュース専門チャンネルであるCNBCのインタビューで、「このチップはAIにとって不可欠なものになる」と語った。
TSMCの上位顧客には、AI向け半導体で業界をリードするNVIDIAの他、Apple、AMD、さらにはTSMCのライバルでもあるIntelまで、米国企業が名を連ねる。TSMCは、アリゾナ工場によって、これらの顧客がサプライチェーンのアジア依存リスクを軽減することになるだろうと示唆した。
TSMCのバイスプレジデントを務めるPeter Cleveland氏は、LinkedInの投稿内で「超党派のCHIPS法のおかげで、TSMCはここ米国で先進的なAI GPUと関連プロセッサを製造することになる」と述べた。
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