TSMCがアリゾナに第3工場を計画、2nm以下を導入し30年までに稼働へ:CHIPS法の補助金66億ドルも決定
TSMCが、米国アリゾナ州フェニックスに2nm以下のプロセスを導入する第3工場の建設を計画していると発表した。2030年までの稼働開始を目指す。計3工場の建設によって、同州におけるTSMCの設備投資総額は650億米ドル以上となるという。
TSMCは2024年4月8日(米国時間)、米国アリゾナ州フェニックスに2nm以下のプロセスを導入する第3工場の建設を計画していると発表した。2030年までの稼働開始を目指す。
TSMCは米国アリゾナ州フェニックスで第1、第2工場の建設を進めていて、4nmプロセスを導入する第1工場は2025年前半に、3nmプロセスおよび次世代ナノシートトランジスタを用いた2nmプロセスを導入する第2工場は2028年に稼働開始する予定となっている。今回新たに発表した第3工場では2nmまたはそれ以降の先端プロセスを使用したチップを生産する予定で、2030年までの稼働開始を目指す。
TSMCによると、これら3つの工場は、同社の他の先端ファブと同様に、クリーンルーム面積が業界標準のロジックファブの約2倍の規模になるという。また、これら3工場によって、TSMCとして高度専門技術職を約6000人直雇用するほか、累計2万人以上の建設関連の雇用および、数万人の間接的なサプライヤーおよび消費者の雇用が創出される見込みだという。
3工場の建設によって、米国アリゾナ州フェニックスにおけるTSMCの設備投資総額は650億米ドル以上となるという。TSMCは同時に、「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)に基づく最大66億米ドルの補助金交付について、米国商務省と予備的覚書(PMT)に署名したと発表した。
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