太陽誘電の23年度決算、営業利益が前期比72%減に 販売価格の影響大きく:24年度は大幅回復を見込む(1/2 ページ)
太陽誘電の2024年3月期(2023年度)通期決算は、売上高が前期比1%増となる3226億4700万円、営業利益は同71.6%減となる90億7900万円だった。販売価格の影響や在庫調整の長期化が主な減益要因となった。
太陽誘電は2024年5月8日、2024年3月期(2023年度)通期の業績を発表した。売上高は、自動車向けと通信機器向けが好調で、前期比1%増となる3226億4700万円。営業利益は同71.6%減となる90億7900万円で大幅な減益となった。顧客ミックスの変化による販売価格影響や、在庫調整による操業度低下が主な要因だという。純利益は同64.2%減の83億1700万円だった。なお、同社は2024年3月期第3四半期(2023年10〜12月)の決算発表の際、通期業績予想を下方修正していて、営業利益については69%減を見込んでいた。
営業利益の増減要因としては販売価格の影響が最も大きく、284億円の減益となった。太陽誘電で経営企画本部長を務める福田智光氏は「自動車向け製品は緩やかな値下がりペースが続いている。情報インフラや産業機器市場の在庫調整の長期化や、スマートフォン市場の需要回復に伴う顧客ミックスの変化などで影響が拡大した」と説明した。さらに、固定費の増加と操業度効果も減益の要因として挙げた。操業度効果については、「販売数量は増加したものの、棚卸資産の削減が利益を押し下げる要因となった」(同氏)と述べた。
製品別売上高は、コンデンサーを除くカテゴリー(インダクター、複合デバイス、その他)は全て前期比で増加した。特に伸びが大きかったのがインダクターと複合デバイスで、インダクターは情報機器や通信機器、自動車向けが好調で前期比5.1%増となる556億円、複合デバイスはスマートフォン向けが増加し、前期比7.2%増の349億円だった。一方、売上高で最大の比率を占めるコンデンサーは、通信機器と自動車向けで増加したものの、民生機器や情報機器向けなどが減少し、前期比1.1%減となる2058億円となった。
用途別の売上構成では、通信機器と自動車が伸びた一方で、情報インフラ・産業機器は需要の回復が遅れたことから前年度の24%に比べ、2023年度は18%と大きく下がった。
研究開発費は前期比10億円増の137億円。設備投資額は、MLCC(積層セラミックコンデンサー)の生産能力増強のため中国およびマレーシアに新設した工場の建設費用を計上したことから、同417億円増の922億円となった。中国の工場(江蘇省常州市)は2023年6月に、マレーシアの工場(サラワク州クチン市)は同年10月にそれぞれ完成している。建屋の投資額は前者が約180億円、後者が約200億円だった。
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