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30Tバイト超の大容量ニアラインHDD、東芝D&Sが実証に成功:HAMRとMAMRの両技術で実現
東芝デバイス&ストレージは、次世代磁気記録技術といわれる「熱アシスト磁気記録(HAMR)」および、「マイクロ波アシスト磁気記録(MAMR)」を用いた3.5型ニアラインHDDをそれぞれ開発し、30Tバイトを超える記憶容量の実証に成功した。
ニアラインHDDのさらなる大容量化を実現へ
東芝デバイス&ストレージ(以下、東芝D&S)は2024年5月、次世代磁気記録技術といわれる「熱アシスト磁気記録(HAMR)」および、「マイクロ波アシスト磁気記録(MAMR)」を用いた3.5型ニアラインHDDをそれぞれ開発し、30Tバイトを超える記憶容量の実証に成功したと発表した。
HAMRは、近接場光によってディスクを局所的に加熱し、磁気記録能力を高める技術だ。今回はディスク10枚を搭載し、SMR方式で32Tバイトを達成した。2025年にもHAMR技術を用いたHDDのテストサンプル品を出荷する予定という。
MAMRは、マイクロ波で磁気記録能力を向上させる技術。2021年に第一世代品の量産を始めた。既に従来型の書き込み方式であるCMR方式を用い、22Tバイト品を製品化している。今回は11枚のディスクを搭載し、瓦書き方式であるSMRの採用や信号処理の改善によって、31Tバイトの記憶容量を実現した。
開発したニアラインHDDは、磁気記録メディア開発を行うレゾナックと磁気記録ヘッド開発を行うTDKの協力を得て、大容量化の実証を行った。
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