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24年度は増収減益予想のローム、SiCパワー半導体への投資や新製品投入の計画を説明23年度は減収減益(3/4 ページ)

ロームの2023年度通期決算は、売上高が前年度比7.9%減の4677億円、営業利益が同53.1%減の433億円、純利益が同32.9%減の539億円で減収減益となった。2024年度は売上高が同2.6%増の4800億円、営業利益は同67.7%減の140億円、純利益は同74.1%減の140億円と増収減益になる計画だ。【訂正あり】

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ラピステクノロジー統合によるシナジーは

 松本氏は説明会において、同社の成長戦略についても語った。

 LSIではASSP(Application Specific Standard Product:特定用途向け半導体製品)のトップ10の分野を定め、その売り上げ構成比を上げることで売り上げ/利益拡大を図る方針を継続していくとした。同社の注力分野である車載向けでは、LEDドライバー、絶縁ゲートドライバー、ADAS(先進運転支援システム)ソリューション(SerDes+AFE+PMIC)の年平均成長率(CAGR)をそれぞれ24%、24%、34%で伸ばしていく計画で、「23年度実績も今期計画も、しっかりと伸ばせる計画になっている。われわれが注力しているものに関してはしっかりと成果が出ている」と説明していた。

LSI事業の成長戦略LSI車載向けソリューションの計画 左=LSI事業の成長戦略/右=LSI車載向けソリューションの計画[クリックで拡大] 出所:ローム

 また、松本氏は、2024年4月に同社100%子会社だったラピステクノロジーを統合したことによるシナジー効果についても言及。ラピステクノロジーが有するMCUやデジタル技術と、ロームのパワーデバイスや制御技術などをすり合わせることで、高付加価値ソリューションの提案を加速していく方針だ。

 今回、同社は例としてモーター制御ソリューションの広がりについて説明した。これまでロームは小型/中型家電および小型民生/車載(小電流)向けの専用モータードライバーを主なターゲットとしてきたが、今後、ラピステクノロジーのMCUおよび制御技術とパワーデバイスをすり合わせたソリューションを展開し、大型家電/産機やサーバ/モビリティ、車載(大電流)および中圧家電/産機向けといった中/大電流帯にも対応していく方針だ。これによってTAM(Total Addressable Market)は1兆6100億円(2025年度)に拡大するという。

ラピステクノロジー統合による強みモーター制御ソリューション 左=ラピステクノロジー統合による強み/右=モーター制御ソリューションにおけるシナジー効果の例[クリックで拡大] 出所:ローム

SiCは27年度売上高2200億円目指す、デザインウィンは既に130社以上

 パワーデバイス事業では、2024年から2027年までのCAGRを24.7%とする目標を掲げている。その成長をけん引役とするのがSiCであり、SiC事業は、BEVの市場鈍化を織り込みつつも売り上げ目標を2025年度に1100億円に、2027年度にはそこから倍の2200億円へと上げる目標を立てている。

パワーデバイス事業の売り上げ目標
パワーデバイス事業の売り上げ目標[クリックで拡大] 出所:ローム

 ロームは既に世界で130社以上のデザインウィンを獲得しているといい、また金額ベースで地域別にみても「バランスよく取れている」と説明。「特定の顧客への依存度が高くない、そういった状況をしっかり作り上げていきたい。2030年に向けても、パイプラインは増えてきているので、この先もSiCに関してはさらに成長させられると認識している」としている。

 松本氏は、SiCについて「われわれは性能でトップを常に走りたい」とも述べ、2025年に向け現在の第4世代SiC MOSFETと比べ、高温時のオン抵抗を30%低減する第5世代品を開発しているとした。また、6インチと比較して面積当たり20〜30%程度のコスト改善が見込まれるという8インチ化についても、筑後工場(福岡県筑後市)で2025年から供給開始予定で、松本氏は「これらの開発や準備で償却がかなり乗っているが、コスト競争力を持つのが大事なフェーズだ。これを成し遂げしっかりと次の売り上げを刈り取っていきたい」と語っていた。

SiC事業のパイプラインと売り上げ目標SiCパワーデバイスの製品開発および生産能力拡大計画 左=SiC事業のパイプラインと売り上げ目標/右=SiCパワーデバイスの製品開発および生産能力拡大計画[クリックで拡大] 出所:ローム

 さらに、2026年以降には宮崎第二工場(宮崎県国富町)の8インチラインも稼働する方針だ。なお、同工場では2024年中に8インチSiC基板の生産を開始する予定となっている。

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