4DS Memoryが切り開くReRAMの競争 勝敗を分ける要素とは:独自の「PCMO」プロセスを開発(2/3 ページ)
オーストラリアのReRAMメーカーである4DS Memoryが開発ロードマップを公開した。同社は、プラセオジムを用いる独自のプロセスを持つ。IoT(モノのインターネット)アプリケーションなどでReRAMの採用が加速するとみる専門家もいる中、ReRAMメーカー各社にとっては、いかにコストを削減していくかが、勝敗を分けるカギとなる。
DRAMよりもはるかに高速なプログラミング応答
Himes氏は、「4DSのPCMOベースのインタフェースの主な利点は、パルス応答が非常に速いことだ。セルのプログラミング応答に関しては、4.7ナノ秒までの速度を達成している。これは、DRAMよりもはるかに高速だ」と述べる。
「セルの領域全体または界面においてプログラミングを行うため、耐久性が高くなる。フィラメントから電流スパイクが集中することはない。4DSのReRAM技術は、あらゆる高性能CMOSプロセスにバックエンド統合することも可能だ。数層追加するだけでよいため、コストも低い」(Hime氏)
imecとの協業で20nmプロセス適用も
4DSは2024年に、2つの目標に注力していく。まず、引き続きimecとの協業により、20nmセルを製造し、他のReRAM技術に対する競争力を高めていくこと。さらに、「潜在的なパートナーシップを締結して新たなアプリケーションに関する議論を開始するのをただ待っているのは、意味がない」と考えることだ。
Hime氏は「永続メモリの概念は、Intelが開発を手掛けていた『Optane』(ベースはIntelとMicron Technologyが共同開発した『3D XPoint』メモリ)に端を発したものだ。永続メモリに対する関心はいまだに高いとわれわれは考えている」と語った。
Himes氏がアプリケーションの一例として挙げたのは、AI用GPUの極めて大規模なクラスタにおける迅速な回復、リブート、システム保護のための非常に高速なキャッシュとしてReRAMを用いることである。モデルがより大規模になるにつれ、データバックアップとリカバリーの演算という課題も大きくなる。永続ReRAMはその対決策の一つになるとHimes氏は主張した。その上で同氏は「(ReRAMを)DRAMやNAND型フラッシュメモリの代替にすることは考えていない」と述べた。
Objective Analysisの主席アナリストであるJim Handy氏は、EE Timesとのインタビューの中で、プラセオジムを用いるという4DSの選択は非常にユニークなものであると述べた。プラセオジムベースのプロセスを成熟レベルに高め、大量生産に導入したりコストを削減したりするには課題が伴う。Handy氏は、4DSならそうした課題に立ち向かえる可能性があるという見解を示した。
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