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4DS Memoryが切り開くReRAMの競争 勝敗を分ける要素とは独自の「PCMO」プロセスを開発(3/3 ページ)

オーストラリアのReRAMメーカーである4DS Memoryが開発ロードマップを公開した。同社は、プラセオジムを用いる独自のプロセスを持つ。IoT(モノのインターネット)アプリケーションなどでReRAMの採用が加速するとみる専門家もいる中、ReRAMメーカー各社にとっては、いかにコストを削減していくかが、勝敗を分けるカギとなる。

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ReRAM分野の競争は「低コスト化」が鍵

 Handy氏は、Coughlin AssociatesのThomas Coughlin氏とともに、ReRAMを含めた新興のメモリに関する年次レポートを発行している。その2023年度版レポート「Emerging Memories Branch Out(枝分かれしていく新興メモリ)」では、特殊なアプリケーションに利用できるReRAMデバイスは、富士通セミコンダクターメモリソリューションやルネサス エレクトロニクスが展開するスタンドアロンの製品など、現時点でわずかしかないと記されていた。

 イスラエルWeebit Nanoは、米ライス大学が開発したSiOx(シリコン酸化物) ReRAM技術の商業化に取り組み始めた。銀や磁性材料など、標準的なCMOSロジックプロセスで不具合が起きていない材料を使用することで、他の技術が抱えていた問題を回避することを目指している。Weebit Nanoはこの技術を既に数世代前進させており、もはや“純粋な”SiOxではなくなっている。2020年初め、Weebit Nanoは顧客需要に基づき、ディスクリートReRAM関連の取り組みの強化を検討していることを明らかにしていた。

 Weebit NanoはCEA-Letiと協業し、高密度なディスクリートReRAM向け2端子セレクターの開発と、自社製品の商業化を目指してきた。2022年、Weebit NanoはReRAMアレイの稼働デモを公開し、SkyWater Technologyのファウンドリーでの生産向けにReRAMを組み込んだデモ用チップのテープアウトを発表した。

 Handy氏とCouglin氏のレポートによれば、ReRAMを扱っている他の企業のうち、TSMCは40nmと22nmのReRAMプロセスを両方提供しているという。米CrossBarもファウンドリーパートナーのSMICが40nmで製造したReRAMをサンプル出荷している。CrossBarはReRAM技術を用いた取り組みに注力することで、暗号によるPUF(Physical Unclonable Function)キーの実現を目指している。

 レポートによると、IoT(モノのインターネット)アプリケーションはReRAMの採用を加速させる可能性があるという。さらに、人工衛星や、X線を使った滅菌を頻繁に行う医療器具などのアプリケーションでは、耐放射線性があるReRAMが好んで採用されるケースもある。

 Handy氏は、「いずれのReRAMメーカーも、どこよりも速くウエハー量を増やし、低コスト化しようとしている。メモリとは結局のところコモディティ製品であり、いかにコストカットできるかが、ReRAMベンダーの勝敗を決めるからだ」と述べた。

【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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