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自動運転車のストレージを「一元化」するMicronの新SSD仮想化と4ポート搭載で(1/2 ページ)

Micron Technologyは2024年4月に、新しいストレージデバイス「4150AT SSD」を発表した。4つのポートと仮想マシン対応で、自動車に「集中型ストレージ」を提供するという。

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 自動車は現在、人をA地点からB地点まで快適に運ぶ乗り物から、「車輪の付いたコンピュータ」へと急激に変化している。このため、バッテリー電気自動車(BEV)や、ハイブリッド/プラグインハイブリッド車(HEV/PHEV)、ソフトウェア定義自動車(SDV:Software Defined Vehicle)などの最新の次世代自動車には、コンピュータで使用するものと同等のコンポーネントが必要になる。例えば、高性能アプリケーションプロセッサだけでなく、十分な容量のメモリや、大容量ストレージ、高性能I/Oなどが挙げられる。

 Micron Technology(以下、Micron)は2024年4月に、自動車の安全性/信頼性/耐久性/セキュリティ要件に対応できるよう設計されたPCIe Gen4 x4ストレージデバイス「4150AT SSD」を発表した。PCやスマートフォンが一般的に備えている性能/容量を提供するという。


Micron Technologyが発表した「4150AT SSD」 出所:Micron Technology

 4150AT SSDは、176層の3D TLC NAND型フラッシュメモリを採用している。4ポート設計で、SR-IOV(Single Root I/O Virtualization)をサポートするため、最大4個のホストSoC(System on Chip)に物理的に接続し、SoC当たり最大16台の仮想マシン(合計64台の仮想マシン)を同時にサポートすることができる。4つの物理ポートと64台の仮想マシンは、今後発表される最新の自動車のストレージサブシステムを簡素化するためのものだ。

 4150AT SSDは、自動車業界の安全性/信頼性要件に対応するために一から設計されている(自動車機能安全規格「ASIL-B」とソフトウェア品質「ASPICE L3」の認証を取得、−40℃〜115℃の温度範囲で動作可能、MTTF(平均故障時間)は1000万時間超など)

 220Gバイト(GB)/440GB/900GB/1.8TBの容量を用意している。最大60万のランダム読み出し4000IOPS(2457Mバイト/秒)と、最大10万のランダム書き込み4000IOPS(409Mバイト/秒)を実現する。

4150ATの主な仕様
4150ATの主な仕様 出所:Micron Technologyの資料を基に米EE Timesが作成

 3D TLC NANDは、クライアントPCや大規模なエンタープライズストレージ向けに最適な耐久性と性能を提供するが、あらゆる自動車用アプリケーションに適しているわけではない。このため、Micronの4150AT SSDは、複数の耐久性グループにおいて柔軟にカスタマイズすることができる。例えば、大量のストレージスペースを必要とする重要度の低いアプリケーション向けのTLCや、耐久性に優れたストレージを使用する必要がある重要なサブルーチン向けのSLC(TLCの20倍の耐久性)、ブラックボックスレコーディングなどのアプリケーションに向けたHE-SLC(TLCの50倍の耐久性)などが挙げられる。

 Micronのエンベデッドプロダクト/システム部門担当バイスプレジデントを務めるMichael Basca氏は、「データの中には、書き込み頻度が低いが、読み出し頻度は高いというものがあるため、TLCがこの密度をうまく利用できるのは素晴らしいことだ」と述べている。

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