24年は日本に注力、DigiKey社長が事業戦略を語る:サポートや物流強化
米大手ディストリビューターのDigiKeyは2024年6月20日、報道機関向けの事業説明会を実施した。同社社長のDave Doherty氏は、2024年の注力国として日本を挙げ、各種サポートや情報提供、物流を強化すると説明した。
米大手ディストリビューターのDigiKeyは2024年6月20日、報道機関向けの事業説明会を実施。同社社長のDave Doherty氏は、2024年の注力国として日本を挙げ、各種サポートや情報提供、物流を強化すると説明した。
Doherty氏は説明会の冒頭、「DigiKeyにとって日本は特別な場所だ。日本は、米国、カナダに次ぐ3番目の主要市場であり、2002年に海外進出した際の初めての国だ」と語った。
日本市場における2023年の売り上げ実績は、国別では7番目に大きい9400万米ドルで、うち9割はオンライン注文によるものだ。同社の日本向けWebサイトの月間閲覧数は350万PV、月間訪問者数は18万8000人。Webサイトに日々寄せられるさまざまな意見や要望を基に、必要な情報を収集/分析して、ローカルレポートとして提供している。技術的な質問については、日本にいる8人のエンジニアが電話やメールで回答している。
日本市場に注力する理由について、Doherty氏は「直近では若干下火ではあるものの、長期的には大きな成長がみられる。また、戦略的にも、最初は外部のコールセンターを使ったビジネスからスタートして、現在はDigikeyの職員が直接対応するようになるなど、模範的なビジネスの拡大ができている」と述べ、「今後は、日本を試金石として、アジア太平洋地域でのビジネスを拡大していく」と続けた。
世界180カ国、95万社に販売
グローバルでは、2900社/1530万点以上の部品を180カ国/95万社以上に提供している。全ての在庫は米国ミネソタ州の製品流通センターで一括管理していて、配送時間の目安は、北南米が24時間、EMEA(欧州、中東およびアフリカ)が48時間、APAC(アジア太平洋地域)が72時間だ。Doherty氏は、DigiKeyの強みについて「品ぞろえ、欠品の少なさ、スムーズな物流、サポート面に関しては競合優位性がある。また、中小企業や大企業との少量取引にも対応する」と語った。
昨今では、メーカーと顧客が直接取引をした上で、DigiKeyが物流だけを担当する場合もあるという。Doherty氏は、「少量の場合は手間がかかるため、DigiKeyを介しての取引を望む声もある。中には、自社製品であっても、DigiKeyから仕入れた方が早いという話も聞いている」と説明した。
DigiKeyは、2023年に創設50周年を迎えた。Doherty氏は、50年間の成長実績について「製品在庫数、顧客数、サプライヤー数など目覚ましい成長を遂げている。売上高は、市場の状況によって変化するため必ずしも右肩上がりではないが、顧客数はここ10年間、右肩上がりで成長している」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Mouser、2024年春に新倉庫設立で規模拡大へ
半導体/電子部品のディストリビューターであるMouser Electronicsの日本法人マウザー・ジャパンは記者説明会にて、業績や日本市場の動向について説明した。取り扱い製品の増加を背景に、米テキサス州の本社敷地内で新倉庫の拡張を進め、さらなる売り上げ増を狙う。 - 品質管理と国際情報網で「世界につながる窓」を目指す Fusion Worldwide社長
米国半導体商社のFusion Worldwideは、「第38回 ネプコンジャパン -エレクトロニクス開発・実装展-」(2024年1月24〜26日/東京ビッグサイト)に出展した。同社ブースで、社長のTobey Gonnerman氏に、展示会出展の狙いや2024年の世界半導体市場予測を聞いた。 - コロナ禍で「サポートの真空地帯」に ブロードマーケットの声を拾う商社を目指す
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによるサプライチェーンの混乱を経験した半導体/エレクトロニクス業界では、商社とサプライヤー、メーカーの関係性は少しずつ変化している。今回は、コアスタッフの社長である戸澤正紀氏と、アナログ半導体企業のエイブリックで取締役会長を務める石合信正氏が、それぞれ商社とサプライヤーの立場から、コロナ後の調達網について語った。 - 菱洋エレクとリョーサンの経営統合が完了、完全親会社「リョーサン菱洋HD」始動
菱洋エレクトロとリョーサンは2024年4月1日、両社の完全親会社となる「リョーサン菱洋ホールディングス(HD)」を設立した。グループ全体で、2029年3月期に売上高5000億円、営業利益300億円を目指している。 - 2024年3月期通期 国内半導体商社 業績まとめ
半導体や電子部品、電子機器などを扱う主要な国内半導体/エレクトロニクス商社(集計対象:21社)の2024年3月期(2023年度)通期業績は、集計対象の21社中、増収増益は6社のみだった。