太陽光に負けない 高精度に測距する3D ToFセンサー:車載や産業用途向け
ヌヴォトンテクノロジージャパンは2024年7月1日、距離演算回路を内蔵した3D(3次元)ToF(Time of Flight)センサー「KW33000」の量産を開始した。独自の画素設計技術と距離演算/ISP(Image Signal Processor)技術により、屋外晴天時でも正確な距離測定が可能だ。
ヌヴォトンテクノロジージャパンは2024年7月1日、屋外晴天時(10万ルクス環境)でも正確な距離測定が可能な3D(3次元)ToF(Time of Flight)センサー「KW33000」の量産を開始した。
KW33000は、独自のCMOSイメージセンサー画素技術とメモリ技術により5.6μm角の画素内にメモリを4個集積していて、それぞれに基準光信号、近距離光信号、遠距離光信号、背景光信号の撮像信号が格納される。メモリを4個集積し、4種類の撮像信号を1フレーム内で同時に取得/距離演算することで、動く被写体でも測距誤差の原因となる距離(3D)画像のブレが発生せずに正確に距離測定ができる。
加えて、各画素内の撮像信号を蓄積するメモリ内に混入した太陽光などによる外乱光ノイズを除去することで、屋外晴天時においても従来比で約3倍に当たる最大20mの距離測定が可能になった。
また、センサー内に距離演算回路と信号補正用ISP(Image Signal Processor)を内蔵しているため、最大120fpsで距離(3D)画像を出力できる。また、距離(3D)画像とIR(2D)画像を同時に出力することで高い認識精度を実現した。
担当者は、KW33000と他社製品との違いについて「一般的な製品では、5.6μm角ではメモリを2つしか搭載できず、4つ搭載するためには8〜10μm角の大きさが必要になる。CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーで培った技術を活用することで、メモリの小型化に成功し、4つ搭載できるようになった」と説明。メモリを複数搭載することによる利点については「背景光除去の性能を高められる。太陽光のような強い光が入ってきた際、複数のメモリを搭載していると、各メモリに入るノイズに差が生まれる。詳細は伏せるが、このノイズの差分をうまく平均化することで高い背景光除去性能を実現した」と語った。
画素数は640×480pixel、フレームレートは60fps(VGA)/120fps(QVGA)。インタフェースはMIPI、I2C/SPIに対応する。機能安全は「ASIL B」に準拠する。車載パッケージ品「KW33000A1T」、産業パッケージ品「KW33000A1K」、チップ品「KW33000ARA」の3種類を用意している。
アプリケーションは、自動車車内の人員検知や顔認証によるスマートドアロックなどを想定。評価用カメラのリファレンス回路やSDK(ソフトウェア開発キット)、物体検知・認識などのサンプルソフトウェアも提供する。担当者は「現在は自動車の乗員検知が一番引き合いが多く、今後もメインターゲットになる見込みだ」と述べた。
販売価格および販売目標については「非公開」(同社)としつつ、「3D ToFセンサーの市場規模は、2026年に300億円、2028年には600億円になると見込んでいる。KW33000は、屋外でも高精度/高速でのセンシングが可能な高性能品のため、それなりのシェアを狙っていきたい」とコメントした。
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