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協業か対抗か 中国とのEV競争で揺れる欧米価格競争をどう乗り切るか(2/3 ページ)

安価なEV(電気自動車)を発売する中国メーカーとの競争において、欧米は真逆のアプローチをとっている。自らの“生き残り戦略”として中国勢との共存を図る欧州に対し、米国は関税を100%に引き上げるなど強硬路線をとる。

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中国メーカーとの共存は「自らの生き残り戦略」

 欧州の政治家たちは、中国製EVへの関税を検討しながらも、米国とは異なる見方をしている。アナリストによると、欧州は、中国製自動車を全て阻止するのではなく、中国メーカーが欧州に工場を建設するよう誘導していきたい考えだという。

 StellantisのCEO(最高経営責任者)であるCarlos Tavares氏は、「われわれはLeapmotorとの協業により、もっと手頃な価格のEVを迅速に市場投入できるようになる」と述べている。

 Leapmotorのチーフエグゼクティブを務めるZhu Jiangming氏は、「Stellantisとの協業は、Win-Winの関係をもたらす。われわれは最先端技術を保有しており、Stellantisには世界的な販売代理店ネットワークがある」と述べる。

 このパートナー提携は、欧州自動車メーカーがEV市場における中国の優位性を懸念している最中に行われた。Tavares氏の予測によると、中国ブランドは2024年に、欧州市場シェア全体の10%を占める見込みだという。Stellantisは、中価格帯セグメントでの競争を目指していく。

 「今回の契約合意には、輸入関税が障壁となった場合に、Leapmotorの自動車をStellantisの工場で生産するという計画も含まれている。Leapmotorはこのような柔軟性により、確立された欧州流通網へのアクセスを確保しながら、潜在的な貿易規制を切り抜けることが可能だ。われわれは、各地域とその地域内に保有する工場に応じて、さまざまな関税シナリオを使用したり使用しなかったりすることで対応していける」(Tavares氏)

 独立系自動車アナリストであるMatthias Schmidt氏は、「Leapmotorは、混雑していて競争が激しく、利益の少ない国内市場のリスクを回避したいため、新しい市場において実績あるプレイヤー企業からの利益を享受している」と述べる。

 また同氏は、「Leapmotorは、Stellantisの遊休施設において、欧州の生産工場へのアクセスを手に入れることにより、欧州の輸入関税が変更される可能性にも対応することができる」と付け加えた。

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