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技術者不足が深刻になる10年後の半導体産業福田昭のデバイス通信(465) ECTC現地レポート(3)(2/3 ページ)

「ECTC 2024」のプレナリーセッションの最終日(2024年5月31日)には、半導体業界の人材育成に関するパネル討論が行われた。その中からいくつかの講演を紹介する。

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米国、フィンランド、中国の人材育成活動が語られる

 ショート講演に登壇したパネリストは5人。3人は米国の業界団体と研究組織、企業、1人はフィンランドの政府系公社、1人は中国の大学を代表して講演した。講演の順番は米国SRC(Semiconductor Research Corp.)、フィンランドBusiness Finland、米国NYCREATES(New York Center for Research, Economic Advancement, Technology Engineering and Science)、中国Central South University(中南大学)、米国Texas Instrumentsである。

プレナリーセッション「Challenges in Education and Workforce Development in the New Chips Economy」のパネリスト一覧
プレナリーセッション「Challenges in Education and Workforce Development in the New Chips Economy」のパネリスト一覧。ショート講演でパネリストが所属する組織の活動を紹介するとともに、技術者の需要と育成に関する課題を説明した。ECTCの公式ウエブサイトに掲載された資料に、講演者に関する筆者の調査結果を追加したもの[クリックで拡大]

フィンランドでは2035年に半導体産業の従事者を2022年の2.3倍に

 ここでお詫びしなければならないことがある。31日のプレナリーセッションは個人的なトラブルによって最初のショート講演(SRC)は聴講できず、2番目の講演(Business Finland)の途中から聴講することになってしまった。読者に対するご不便をお詫びします。

 そのBusiness Finland(ビジネスフィンランド)はフィンランド雇用・経済省(Finnish Ministry of Employment and the Economy)の下部組織であり、研究開発向け投資基金、海外からの投資誘致、観光(海外からの観光)促進などの機能を備える。Head of Microelectronics, Photonics and QuantimをつとめるToni Mattila氏が講演した。

 Mattila氏の講演によるとフィンランドの半導体産業では2022年に6670人が働いている。2023年の生産額は約20億ユーロである。ここから12年後の2035年には生産額が約3倍の60億ユーロに達すると予測する。

 そして半導体産業は2035年に2万名の従事者を必要とする。2022年〜2035年には2300人が退職すると見込まれるので、増員すべき人数は1万5660人になる。内訳は博士号取得者が1720人、修士号取得者が8770人、学士号取得者が3600人、高等学校/職業訓練校卒業者が1750人である。

フィンランドの半導体産業(生産額と従事者数の推移と内訳)
フィンランドの半導体産業(生産額と従事者数の推移と内訳)。Business FinlandのMattila氏による講演スライドを撮影したもの[クリックで拡大]

 言い換えると2035年には1万5000人を超える従事者が不足することになる。総人口が550万人(2024年、ワールド・データ・アトラス)、15〜24歳人口が61万人(2020年、同上)と少ないフィンランドにとってはかなり大きな課題だろう。人材不足に対処するため、あらゆる水準での教育に対する投資、移民(外国人雇用)の活用、学生に対する半導体産業のイメージアップとプロモーション活動、企業と教育機関の連携強化、などに取り組んでいるとする。

人材の不足に対処する主な方策
人材の不足に対処する主な方策。Business FinlandのMattila氏による講演スライドを撮影したもの[クリックで拡大]

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