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技術者不足が深刻になる10年後の半導体産業:福田昭のデバイス通信(465) ECTC現地レポート(3)(3/3 ページ)
「ECTC 2024」のプレナリーセッションの最終日(2024年5月31日)には、半導体業界の人材育成に関するパネル討論が行われた。その中からいくつかの講演を紹介する。
ニューヨーク州は産官学連携によって先端研究と人材開発を継続
次に、米国ニューヨーク州の半導体研究開発促進組織NY CREATES(New York Center for Research, Economic Advancement, Technology Engineering and Science)の教育および人材開発担当バイスプレジデントとSUNY Polytechnic University(ニューヨーク州立大学)のNanoscale Science and Engineering担当教授を兼務するRobert Geer氏が、NY CREATESの活動について説明した。
ニューヨーク州政府は1980年代から半導体の研究開発を強化し続けてきた。州政府、企業、大学が連携して研究開発に取り組む「産官学連携」を基本とする。人材育成では米軍退役者を教育して半導体産業に送り込むプログラム「VET S.T.E.P. (Semiconductor Training & Experience Program)」を紹介していた。このプログラムを修了した退役軍人の90%が半導体産業に就職しているとする。
先端半導体産業で働く人材の開発。次世代半導体の製造や先進パッケージングなどのスキルを有する人材を継続して育成する。ニューヨーク州各地域における教育のイノベーション、米軍退役者を教育して半導体産業のキャリアを積ませるプログラム、NY CREATESの拠点で働くインターンシップ、NY CREATESのパートナー企業で働く直接訓練、などがある。Geer氏の講演スライドを筆者が撮影したもの[クリックで拡大]
ニューヨーク州各地域の高等教育機関(カレッジとユニバーシティ)。東部のアルバニー(Albany、「オールバニ」とも呼ぶ)と西部のロチェスター(Rochester)に複数の大学が集まっている。Geer氏の講演スライドを筆者が撮影したもの[クリックで拡大]
続く中国Central South University(中南大学)と、米国Texas Instrumentsの講演概要は、本シリーズの次回でお伝えしたい。
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