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過熱するHBM開発競争、SK hynixは製品化を前倒し「HBM4」を2025年に発表へ(1/3 ページ)

SK hynixは、次世代HBMである「HBM4」製品について、従来の想定より1年早い2025年に発表予定だと明かした。同社はHBM市場で大きなシェアを確保しているが、専門家は「今後、より厳しい競争に直面することになるだろう」と語っている。

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HBM4Eまでのロードマップを公開

 SK hynixは、AI(人工知能)に不可欠なHBM(広帯域幅メモリ)市場において、同社が引き続き優位性を確保していく考えであることを示すロードマップを公開した。一方で業界専門家は米国EE Timesの取材に対し、「SK hynixは、同社のライバルであるSamsung Electronics(以下、Samsung)やMicron Technology(以下、Micron)に対してリードを維持してきたが、今後はより厳しい競争に直面することになるだろう」と語っている。

 SK hynixは、2024年5月21〜22日にベルギー・アントワープで開催された「ITF World 2024」において、次世代HBMである「HBM4」製品を、2025年に発表予定だと明かした。同社はまた、同イベントで披露したプレゼンテーションスライドで、NVIDIAのGPU「Grace Hopper GH200」にパッケージ化された2つのHBM3Eモジュールを示した(下図)。SK hynixのDRAM/NAND技術開発部門担当シニアバイスプレジデントを務めるIlsup Jin氏は、同イベントの中で、「当社のHBM4は、予想よりも早く提供できる見込みだ。2025年には提供できるだろう」と語った。

SK hynixのHBM製品のロードマップ[クリックで拡大] 出所:SK hynix
SK hynixのHBM製品のロードマップ[クリックで拡大] 出所:SK hynix

SKが先行だが、Samsung、Micronも開発を加速

 SemiAnalysisのチーフアナリストであるDylan Patel氏は、2024年初頭のEE Timesの取材の中で、「SK hynixは、HBM市場において大きなシェアを確保していて、HBM3では85%超、HBM全体では70%超を占めている」と説明していた。世界的な研究開発機関imecのCMOS技術担当シニアバイスプレジデントを務めるSri Samavedam氏によると、この分野の競争はさらに熾烈を極めていく見込みだという。

 Samavedam氏はEE Timesの取材に応じ、「SK hynixはアーリーアダプターとして先行している。一方でMicronも後を追っていて、2023年には非常に競争力のあるHBM製品を発表し、2024年にはHBM3E製品も発表している」と述べる。

 Micronは2024年2月に、HBM3Eの量産を発表した。これは、NVIDIAが同年第2四半期に出荷を開始する「H200 Tensorコア GPU」に搭載されるという。

 先進パッケージング技術は、HBMを広く普及させる上で非常に重要だ。Korean Economic Daily(韓国経済新聞)が報じたところによると、Samsungは、2024年にはHBM向け3Dパッケージングサービスを提供し、2025年には自社開発のHBM4の提供を開始する予定だという。

 Samsungは、この報道に関してはコメントを拒否している。代わりにSamsungは、EE Timesの取材に応じ、2024年第2四半期までに12層の「HBM3E」製品を発表予定だと明かした。同社はHBM供給能力と技術競争力の強化を表明している。

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