「Copilot+ PC」を分解 際立つQualcommのスタートダッシュ:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(85)(3/4 ページ)
2024年6月、「Copilot+ PC」が各社から一斉に発売された。今回、テカナリエは「Surface Laptop(第7世代)」を分解。ひと際目立っていたのが、真っ先にCopilot+ PCに対応したQualcommのチップセットだ。
Microsoft製のタッチ系チップ
図4はSurface Laptopのタッチ系チップの様子である。MicrosoftはPCプロセッサにIntel、AMD、Qualcommを採用するが、差別化や優位性を打ち出すポイントでは自社製チップを用いている。Surface Laptopではディスプレイタッチコントローラー、タッチパッドコントローラーが自社製だ。市販のチップのパッケージだけ変えて使用しているのではなく、シリコン上にもMicrosoft、Surfaceの文字が確認できている。ともに2020年以降の年号情報のある新チップとなっている。
図5はSurface Laptopの基板上のSnapdragon X Elite以外のQualcommチップの様子である。基板のほとんどはQualcommのチップで構成されている。電源系やバッテリー充電系、Wi-Fi Bluetooth通信などが全てQualcomm製だ。システムを構成するチップセットになっている。チップセット化することで性能、機能も最適化しやすい。
「チップセット」の苦い思い出
Qualcommはスマートフォンでもチップセットで躍進した。ずいぶん昔の話になるが筆者が半導体メーカー社員であった時、携帯電話関連のチップを開発したことがあった。A社がプロセッサ、B社がRF、C社が電源という縦割り開発であった。Qualcommは当時からチップセットで売り込みを行っており、個々の性能では負けていないものも、システム全体ではQualcommが上というケースが多かった。当時、電源仕様の変更をC社に打診したところ、社内合意が得られそうもないとお断りがあって、性能を諦めたことがあった。社をまたぐ開発ではなかなか出来ないことも、チップセットなら社内調整で済むので変更できるだろうと落たんしたものだ。
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