長期保管した半導体や、古いデートコード品は使えるのか?(前編):半導体製品のライフサイクルに関する考察(8)(3/4 ページ)
コロナ禍を経て、半導体製品の安定確保がより重視されるようになっている。そうした中、同じ半導体製品を使い続けるためには、自社での保管を含め、在庫を長期間保管しなければならない状況が発生する。今回は半導体製品の長期保管に焦点を当て、その懸念点について前後編の2回で検証する。
スズウィスカ、古くて新しい話
ウィスカとは、形状や発生の仕方が「ひげ」のようであることから,金属やその他の固体の細線状の結晶成長を呼称したものだ。ウィスカは、1940年代初頭に多発した通信信機器のトラブルの原因になったことから広く知られるようになった。その後、Sn-Pbメッキという、ウィスカの発生を抑える対策が発見され、表面処理として多く採用されていた。しかし、昨今、EUにおけるRoHS規制などにみられるように、電子機器から鉛を排除する動きが広がり、ウィスカの問題が半世紀以上を経て再び注目されるようになっている。
ウィスカに関する研究は、関連する企業や研究機関などで、長年にわたり進められてきていて、論文なども多く発表されている。また、半導体メーカーにおいても、ウィスカに関する情報を発信している。
米国NASAでは、ウィスカの問題を古くから検証していて、以下のような結論を下した。
- スズウィスカのメカニズムについて受け入れられている単一の説明は確立されていない。
- 成長率は非常に変動しやすく、さまざまな要因の複雑な関係によって決定される可能性が高い。
また、JEDECとInternational Electronics Manufacturing Initiative(iNEMI)が発行した以下2つの文書では、ウィスカ対策について言及している。
- JESD201A “Environmental Acceptance Requirements for Tin Whisker Susceptibility of Tin and Tin Alloy Surface Finishes”
- JP002 "Current Tin Whiskers Theory and Mitigation Practices Guideline"
iNEMI スズウィスカ・ユーザー・グループの議長を務めるジョー・スメタナ氏は、「この標準的な試験要件と関連する受入基準は、製品の信頼性を確保したいユーザーと、1つの基準で仕上げの試験と評価を進めることができるサプライヤーにとって極めて重要だ」と述べている。
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