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GPSなしで太平洋を自律飛行も 東芝の慣性センサーモジュール:2026年度に製品化予定(2/2 ページ)
東芝は、MEMS技術を用いて小型化し、同時に世界最高レベルの精度を実現した「慣性センサーモジュール」を開発した。このモジュールの精度は、航空機に搭載して太平洋航路をGPSなしで自律飛行できるレベルだという。東芝電波プロダクツは、新開発のジャイロセンサーを用い、小型の「可搬型ジャイロコンパス」を開発した。
可搬型ジャイロコンパス、0.056度の方位角精度で「真北」を推定
東芝電波プロダクツは、東芝が開発したジャイロセンサーを用い、可搬型のジャイロコンパスを開発した。持ち運び可能なサイズを実現しながら、0.056度の方位角精度で「真北」を推定することに成功した。この方位角精度は防衛用レーダーなどに用いられる機械式・光学式並みの精度である。ちなみに、0.056度の方位角精度は1km先で1mの誤差となる。これに対し、従来のMEMS式ジャイロセンサーを用いた方位角精度は約1度である。この方位角精度だと1km先では18mの誤差が生じるという。
開発したジャイロコンパスの大きさは約4リットル(直径180mm、高さ161.6mm)だが、「バッテリーを工夫すればもう少し小型化できる」という。2026年度にも製品化の予定である。
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