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埋もれていた微小信号が見える 14ビットADC搭載汎用オシロキーサイト「InfiniiVision HD3シリーズ」(1/2 ページ)

キーサイト・テクノロジーが、帯域幅200M〜1GHzの汎用オシロスコープの新製品「InfiniiVision HD3シリーズ」を発表した。14ビットA-Dコンバーター(ADC)を搭載し、低いノイズフロアを実現したことで、これまで見えなかった微小信号を特定できるようになる。

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 キーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)は2024年9月11日、帯域幅が200MHz〜1GHzの汎用オシロスコープとして「InfiniiVision HD3シリーズ」を発表した。14ビットA-Dコンバーターを搭載した新たな専用ASICと、低いノイズフロアによって、これまで見えなかった微小信号を特定、捕捉できるようになる。キーサイトの既存の汎用オシロスコープ「InfiniiVision 3000G Xシリーズ」の後継機種で、約10年ぶりのアップデートとなる。

「InfiniiVision HD3シリーズ」の外観
「InfiniiVision HD3シリーズ」の外観。サイズは、幅33.5×高さ26.2×奥行き16.8cmで、重さは約5kg。持ち運び用の専用バッグも別売りしている[クリックで拡大]

14ビットA-Dコンバーターを「生かし切る」低ノイズフロア

 InfiniiVision HD3シリーズで大きく変わったのは、まずは14ビットA-Dコンバーター搭載のASICを用いていることだ。InfiniiVision 3000G Xシリーズでは8ビットA-Dコンバーターだった。これにより、極めて高い垂直分解能が得られる。最大ENOB(有効ビット数)は10.4ビットと高く、「14ビットA-Dコンバーターの性能を十分に活用できている」(キーサイト)とする。

 さらに、帯域幅が最大110GHzのハイエンドオシロ「Infiniium UXRシリーズ」のフロントエンドで使われている技術を流用し、ノイズフロアを31.5μVRMSと低く抑えた。InfiniiVision 3000G Xシリーズのノイズフロアは277μVRMS、一般的なオシロスコープでは280μVRMS以上になることも多いので、31.5μVRMSがいかに低い値であるかが分かる。「フロントエンドにおける信号経路の設計や、発生するノイズを抑えるシールドを最適化し、低ノイズの電源などを使用することで、総合的にノイズを抑えている」(キーサイト)

 14ビットA-Dコンバーターと低ノイズフロアによって、InfiniiVision 3000G Xシリーズでは見えなかった微小信号を確実に特定できるようになる。

A-Dコンバーターの分解能による、信号表示の違いノイズフロアの比較 左=A-Dコンバーターの分解能による、信号表示の違い/右=ノイズフロアの比較[クリックで拡大] 出所:キーサイト・テクノロジー

5mVの信号をアッテネーターで5μVに減衰。その微小な信号も明確に確認できていた[クリックで拡大]

 波形更新レートは130万波形/秒。専用ASICの処理能力により、複数の機能を使用してもこの更新レートは落ちないという。メモリ長は標準で20Mポイント、最大で100Mポイントと長いので、長時間の信号キャプチャーが可能になる。なおInfiniiVision HD3シリーズでは、メモリをセグメントに分割し、タイムスタンプが付いたリストとして表示できる。「どのような波形がいつ出現したのか」がすぐに分かるようになり、長い波形の挙動が見やすくなる。

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