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中国勢の限界見えた? 主要スマホ向けプロセッサの競争環境Yoleが調査(1/2 ページ)

フランスの市場調査会社Yole Groupは、フラグシップスマートフォン用のアプリケーションプロセッサを調査し、「APU - Smartphone SoC Floorplan Comparison 2024(APU - スマートフォン向けSoCのフロアプラン比較 2024)」と題する研究の分析概要を発表した。【訂正あり】

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 フランスの市場調査会社Yole Groupは、フラグシップスマートフォン用のアプリケーションプロセッサを調査し、「APU - Smartphone SoC Floorplan Comparison 2024(APU -スマートフォン向けSoCのフロアプラン比較 2024)」と題する研究の分析概要を発表した。この調査は、ファウンドリー技術からパッケージング、コスト分析に至るまでさまざまな技術分野を網羅し、特にSoC(System on Chip)アーキテクチャに重点を置いている。このレポートでは、モバイルプロセッサを巡る競争環境を理解する上で、以下の製品を取り上げている。

  • Apple「A17」(「iPhone 15 Pro」に搭載)
  • Google「Tensor G3」(「Pixel 8 Pro」に搭載)
  • HiSilicon「Kirin 9000」(Huawei「Mate 60 Pro」に搭載)
  • MediaTek「Dimensity 9300」
  • Qualcomm「Snapdragon 8 Gen 3」
  • Samsung Electronics「Exynos 2400」(「Galaxy S24 SM-S921U1」に搭載)

 これらはトップクラスのデバイスメーカーによる2024年8月時点での最新の設計だ。このような競争の激しい分野では定期的に新製品が登場している。

いずれもArmの設計を採用

 この6つの設計グループには共通点があるが、それぞれのアプローチには重要な相違点もある。

 このクラスのプロセッサは全て、Armの設計に依存している。搭載するコアや組み合わせるコアが異なる他、最も顕著な違いとしては、Appleの設計者がArmのIP(Intellectual Property)を採用しながら、論理機能を自社独自の物理的設計に組み込んでいるという点が挙げられる。他社は、Armのハードマクロを使用してプロセスを効率化することを好む。Appleは、設計を最適化するプロセスに多くの労力を注いでいる。単一ブランドのハードウェア/ソフトウェアの両方を手掛けている唯一のメーカーであるため、Appleのプロセッサにとって、物理設計に特別な手間をかけることは非常に理にかなっているといえる。

 A17の設計は、他の詳細部分においても特徴が際立っている。CPUアーキテクチャの標準的なアプローチでは、最も要求の厳しいタスクのためのパフォーマンスコアと、適切な場合には必ず低消費電力で動作する小型の高効率コアを採用する。Apple A17は、最も少ないコア数で最も厳しいソフトウェア動作を実行するという、デュアルコア設計なのだ。

Apple「A17」の構造
「A17」の構造[クリックで拡大] 出所:Yole Group

 その一方でMediaTekは、「Dimensity 9300」に最も強力なCPUを搭載している。同社のAPUは、他の設計メーカーでは小型の高性能コアでサポートされた単一のメインコアとしてのみ使用されることが多い超大型コアを、4つ搭載している。Dimensity 9300は、Arm Cortex-X4コアの完全な高性能クアッドコアセクションを備える。また省電力機能向けとしては、高効率なArm IPではなく、通常は高性能動作向けに使われているCortex-A720コアが好んで使用されている。

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