TSMC一強に死角なし 半導体受託製造業界を分析:大山聡の業界スコープ(82)(2/4 ページ)
Samsung Electronicsの半導体事業の業績が伸び悩んでいる。筆者としては「ファウンドリー(半導体受託製造)事業の低迷がより大きな問題ではないか」と分析している。ファウンドリー業界ではIntelがファウンドリー部門の分社化を発表した。ファウンドリー業界は今どうなっているのか、今後はどうなるのか。探ってみる。
メモリは微増収 ファウンドリー事業の苦戦は確かか
図2はSamsungの四半期ごとの営業利益を部門別に示したグラフである。
DS部門は2024年4〜6月期に6兆4500億ウォンの営業利益を計上しているが、7〜9月期は3兆8600億ウォンに減益となっている。メモリの売上高は前四半期比で2%増だったので、同社にとって不本意ではあっただろうが、減益要因とは考えにくい。となると、メモリ以外で巨額の経費を計上している事業、つまりファウンドリー事業の赤字が拡大したことが要因ではないか、と推察されるのである。韓国メディアの報道によれば、Samsungファウンドリー事業の赤字幅は7〜9月期1兆ウォン、などと推定されている。さらにSamsungは、平沢(ピョンテク)キャンパスP2、P3工場(ファウンドリー用、4/5/7nmプロセス)の稼働を30%以上停止しているが、2024年末までに約50%まで停止規模を拡大するという。実際に同社ファウンドリー事業の顧客が委託先をTSMCに切り替えた、という事例のいくつかが報道されていて、同社がファウントリー事業で苦戦を強いられていることは確かなようだ。
では、首位を独走するTSMCの業績はどのように推移しているのだろうか。
最高業績を更新し続けるTSMC
図3は、TSMCの四半期業績をグラフにしたものである。
Samsungが顧客から逃げられ、稼働率を落とし、大赤字に苦しんでいる一方で、2024年7〜9月期は増収増益を達成している。2024年10〜12月期も前四半期比で11〜14%の増収を見込んでおり、過去最高の売り上げおよび利益を更新していく見込みだ。2位のSamsungが年末に向けて稼働率を下げようとしているのとは対照的である。このまま進むと、TSMCのシェアはさらに高まり、Samsungとの差はますます開くことが予想される。
3位以下は、2位のSamsungから大きく離されているが、主だったところを紹介すると、以下の通りである。
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