量子中継による「量子もつれ」の生成手法を発明:量子インターネットの基盤技術に
横浜国立大学とLQUOMは共同研究により、量子通信の長距離化に必要な、量子中継による「量子もつれ」の生成手法を発明した。量子インターネット基盤技術として期待される。
多値化技術で位相制御の難易度を大幅に緩和
横浜国立大学とLQUOMは2024年11月、量子通信の長距離化に必要な、量子中継による「量子もつれ」の生成手法を発明したと発表した。量子インターネット基盤技術として期待される。
量子通信は、量子を利用することで安全な暗号通信を可能にする通信方式。量子インターネットを始め、クラウド量子計算の安全な運用などにおいて重要な技術といわれている。ただ、数百kmを超える長距離の量子通信には、量子中継の技術が必要となる。
そこで今回、「一光子干渉」と呼ばれる技術を用いた量子中継の新しい手法を提案した。従来の一光子干渉を利用した手法とは異なり、多値化技術を活用することによって位相制御の難易度を大幅に軽減している。例えば、光路の位相や遠隔地間のレーザー位相を厳密に合わせる必要がなく、遠隔地での利用を容易にした。
新たな手法では、複数のモードを用いて位相に敏感な量子もつれを生成する。この時、2つ以上のモードで量子もつれを生成するよう、数多くのモードで行う必要がある。一光子干渉が成功した2つのモードをペアにすれば位相の類似した部分を打ち消すことができる。このペアリングによって、これまでよりも位相制御の難易度が緩和できたという。条件によっては、従来の一光子干渉を利用した手法に比べ、高いもつれ配送率を達成できることも確認している。
今回の研究成果は、横浜国立大学大学院工学研究院/総合学術高等研究院の堀切智之教授と、同研究室の吉田大輔氏(理工学府大学院生)および、LQUOMによるものである。
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