Armがチップレットで本領発揮へ エコシステム構築を加速:「NVIDIA代替」も目標に(1/3 ページ)
Armが「チップレットの民主化」に向けて取り組みを加速させている。大規模なエコシステムを持つというメリットを生かし、さまざまなパートナー企業を取り込んで、より多くのメーカーがチップレットの利点を享受できるようにすることを目指す。
チップレットは現在のトレンドになっているが、専門知識や経済的な制約があるために、誰もがその時流に乗ることができるわけではない。それでも、チップレット技術をもっと幅広く普及させるべく、”技術の民主化”に向けたさまざまな取り組みが進められている。
「Arm Total Design」イニシアチブが最近実施したアップデートでは、チップレットエコシステムの拡大に重点が置かれた。その発表から1年後、ArmとSamsung Foundry、ADTechnology、Rebellionsは、クラウドやHPC(高性能コンピューティング)、AI/ML(人工知能/機械学習)トレーニング、推論ワークロードなどをターゲットとするAI/CPUチップレットプラットフォームを立ち上げるべく、パートナー提携を締結した。
同イニシアチブは、カスタムシリコンの開発を加速させ、持続可能なAIデータセンターのためのハードウェア基盤を構築していくというArmの幅広い目標の一環であり、チップレット技術関連のイノベーションなども含まれている。
Armベースのチップレットに搭載されているAlcor Micro製品は、ArmのCompute Sub System(CSS)を備え、AIのトレーニングと推論ユースケースをターゲットとしている。一方でAlphawaveの高度なコンピュートチップレットは、AIやHPC、データセンター、5G/6G(第5世代/第6世代移動通信)アプリケーション向けにCSS上で構成されている。
Arm Total Designの企業団体には、EDAツールや設計専門知識、ファウンドリーサポートの他、設計の上部に位置するファームウェアや高レベルのソフトウェアなどを手掛けているメーカーが含まれる。Armのインフラストラクチャビジネス部門担当バイスプレジデントを務めるEddie Ramirez氏は、米国EE Timesのインタビューの中で、「Arm Total Designは、OCP Summitでの発足以来、今や29社のエコシステムパートナーを擁するまでになった。このようなパートナーを集める手法は、全ての半導体チップが同じ設計パートナーによって作られているという事実を示している」と述べる。
Ramirez氏は、「われわれは、設計間で再利用可能な半導体チップの選択肢を提供していきたいと考えている。それは最終的に、設計コストの削減につながるからだ。共通インタフェースや、既に共同で実証済みのさまざまなIP(Intellectual Property)を用いることで、相互運用可能なチップを誰もが構築できるようにする必要がある」と述べる。
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