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半導体露光装置から宇宙へ――京セラのセラミック材料、新市場で展開拡大:宇宙関連で売り上げ6倍目指す(2/3 ページ)
京セラは、低熱膨張性や高機械強度などの特性を有するファインセラミックスの一種「コージライト」を開発/提供していて、同材料は半導体露光装置のウエハーステージ用途で広く採用されている。同社はこの材料を生かせる新たな市場として、宇宙業界での展開を強化している。
京セラのコージライトミラー、その性能の詳細
光学ミラーとして使用されているさまざまな基板の材料と比較しても、同社のコージライトが高い温度安定性を有し、比剛性も低熱膨張ガラスより1.5〜2倍高いことが分かる(下図内左表)。また、長期寸法安定性についてのテストした結果でも、低熱膨張ガラスを上回る性能を有していることが確認できたという(下図内右表)
左表が光学ミラーとして使用されているさまざまな基板の材料を、温度安定性および比剛性でマッピングした図(青字が京セラのコージライト)。右表は長期寸法安定性のテスト結果(同)[クリックで拡大]出所:京セラ
そしてミラーとして重要な表面粗さや平面度についても、精密な表面研磨およびコーティング技術などを生かして高い特性を実現。宇宙関連および天体望遠鏡で用いられるミラーを開発/提供している。なお、ミラー以外にも構造部品や、ミラー含めて複数の部品を組み合わせた光学系システム(全体を同じ材料で構成するのでアサーマル化が実現できる)としても使用されているという。
また、特に宇宙関連ではガンマ線や原子状酸素への耐性も重要となるが、この点も、機械的、熱的および光学的な特性の全てで、ガンマ線/原子状酸素を当てた前後で変化がほとんどないことが実験で確認できているという。神浦氏は「宇宙向けのアプリケーションとして優位な材料だ」と強調していた。
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