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米国の厳しい対中規制 目的見失えば逆効果に報復措置でIntelが標的に?(2/3 ページ)

米国は2024年12月に、新たな対中輸出規制を発表した。この一撃は両国間の技術戦争においてこれまでで最も強力なものだが、アナリストによれば、その効果には疑問があり、米国のイニシアチブは不十分かもしれないという。

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「中国が米国よりも先行していることを認識していない」

 ワシントンD.C.の法律事務所Wiley Reinの国際貿易/国家安全保障部門担当弁護士であるNazak Nikakhtar氏によると、米国は、中国を考慮に入れて輸出管理体制全体を見直す必要があるという。

 Nikakhtar氏はEE Timesの取材の中で、「回避するための門戸が開かれているさまざまな規則の上に、さらに多くの規則を追加したにすぎない。実際に中国への輸出を阻止することなく、企業に対するコンプライアンスコストを大幅に増加させている」と述べる。

 同氏は、「中国は、国内産業を確立させてからわずか数十年で、最先端チップの生産能力を実証した」と指摘する。

 かつて米商務省高官を務めた経歴を持つNikakhtar氏は、「それは何を意味するのだろうか。中国は非常に優れていて、米国の先を進んでいるということだ。米国が中国を数世代遅れた状態に足止めするという議論は、中国が米国よりも先を進んでいるという事実を認識していないのだ」と述べる。

 Nikakhtar氏は、「米国は、中国が“ハイブリッド戦争”を行う敵対国であるということを認識する必要がある」と付け加えた。「中国は、アンチモン(Sb)やゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)といったさまざまな鉱物の米国への輸出を非常にうまく阻止しているのに、どういうわけか致死性フェンタニルの輸出を阻止することはできないのだ。これは友好的なふるまいだとはいえない」(同氏)

 ワシントンD.C.に拠点を置くシンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS:Center for Strategic and International Studies)でAI/先端技術部門担当ディレクターを務めるGregory Allen氏は、「中国は、米国が技術輸出規制を拡大するはるか以前から、半導体製造装置の輸入依存を断ち切ることを目指していた」と述べる。

 Allen氏は、2014年11月のCSISレポートの中で、「トランプ政権が2018年4月に、中国最大の通信サービスメーカーであるZTEに対して米国製チップの販売を禁止する輸出規制を実施する以前から、中国政府は公的政策として、外国製のチップや半導体製造ツールへの依存度の引き下げに取り組んできた」と指摘する。

 中国政府が2015年に発表したロードマップ「Made in China 2025」は、半導体製造装置のローカライゼーションに関する市場シェア目標として、深紫外線(DUV)ソグラフィ装置を2025年までに、極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置を2030年までに実現するとしている。

さらなるHBM/AI規制

 Triolo氏は、EE Timesに提供したレポートの中で、「新たな規制の幅広さは、バイデン政権当局が過去3年間にわたって輪郭を形成してきた米中間の技術競争が著しくエスカレートしていることを意味する。AI対応サーバチップの世界的な販売を対象とする2つ目の規制は、中国のメーカーや個人が規制されたハードウェアを入手することを阻止するために策定されたもので、2024年12月後半に発効され、HBMに対する追加規制も含まれる見込みだ」と述べる。

 韓国のSK hynixは、世界最大のHBMサプライヤーであり、業界シェア全体の半分以上を占めている。

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