研磨工程を用いず常温接合で金めっき膜を平滑化:原子レベルの滑らかな接合面を実現
東北大学は、産業技術総合研究所や関東化学と共同で、研磨工程を用いずに常温接合で金(Au)めっき膜を平滑化する技術を開発した。次世代電子デバイス実装に求められる平らで滑らかな原子レベルの接合面を実現した。
平滑化されたAuめっき膜は、常温で強固な接合であることを実証
東北大学は2025年1月、産業技術総合研究所や関東化学と共同で、研磨工程を用いずに常温接合で金(Au)めっき膜を平滑化する技術を開発したと発表した。次世代電子デバイス実装に求められる平らで滑らかな原子レベルの接合面を実現した。
次世代電子デバイスの実装工程では、熱によるダメージなどを避けるため、低温での接合技術が必須となっている。しかし、Auめっき膜を介した接合において、接合面の平滑度が低いと隙間が生じやすい。密着性を高めようとすれば、高い温度や圧力が必要になるという課題があった。
接合プロセスの温度を下げるには、接合面を平滑とするのが有効で、これまでは研磨技術を用いて表面を滑らかにしていた。ただ、接合面が小さかったり複雑な形状だったりすると、研磨で滑らかにするのは難しかったという。もちろん、熱に極めて弱い材料や熱膨張係数差の大きな材料を組み合わせる場合には、接合温度を常温レベルまで下げる必要があった。
研究グループは今回、表面活性化接合とテンプレートストリッピング技術を組み合わせる新たな手法を開発した。ポリイミド製テンプレート上に、表面活性化接合で形成した平滑なAu薄膜を、粗いAuめっき膜に転写し重ねる技術である。
粗いAuめっき膜の表面に、平らで滑らかなAu薄膜を繰り返し転写することで、Auめっき膜の表面を平滑化できることが分かった。十分に平滑化されたAuめっき膜は、常温で強固な接合が得られることを確認した。また、平滑化したAuめっき膜にシリコンチップを常温接合した試料のせん断強度を測定し、強固に常温接合されていることが分かった。
今回の研究は、東北大学大学院工学研究科電子工学専攻の日暮栄治教授らが、産業技術総合研究所デバイス技術研究部門集積化MEMS研究グループの倉島優一研究グループ長らや、関東化学の清水寿和副主席研究員らと共同で行った。
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