新センサーの歩留まり「ほぼ正常な水準」に、ソニー半導体:通期売上高予想を上方修正(2/3 ページ)
ソニーグループのイメージング&センシングソリューション(I&SS)分野の2024年度第3四半期業績は、売上高が前年同期から微減の5009億円、営業利益は同2%減の975億円だった。
モバイル向けは2025年度も順調な成長見込む
ソニーによると、モバイル機器向けイメージセンサー売上高の2021年度から2024年度まで年平均成長率(CAGR)は円ベースで23%、米ドルベースで11%となる見通しだという。これは主にセンサーサイズの大判化および高付加価値化による単価上昇を背景としたものだ。「2025年度についても、米ドルベースで同水準の売り上げ成長が期待できると見ている」という。
一方で、車載向けセンサーは欧米を中心に電気自動車(EV)市場の成長鈍化の影響がみられるとしつつ、「これまでの顧客基盤の拡大と製品高性能化が奏功し、中国EVメーカーの旺盛な需要やセンサーの高画素化によって事業が拡大している。分野全体の売り上げに占める割合は小さいものの、今後も高い成長を期待している」としている。
ソニーグループ社長の十時裕樹氏は、2025年度に想定される機会やリスクについて「大判化による売り上げ成長の継続はあるだろう。また歩留まり問題も今期中に解消するので、来期に向けてそれほど大きな懸念材料はない」と説明。そのうえで、AI搭載の加速といったトレンドが、スマートフォン市場自体を活性化するものとなるかが大きなポイントとなるという見立てを語った。
米国関税の影響、現時点では「軽微」
今回、ソニーは米国の関税政策への対応についても言及した。同社ではI&SSの他、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)、エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)の各分野で、地政学リスクに対応するため、過去数年間にわたってサプライチェーンの複線化やフレキシビリティ向上に取り組んできたという。
足元では米国内に一定水準の戦略在庫を積み上げるなどの備えも進めていて、「現時点で実行および検討が発表されている米国追加輸入関税による当年度業績への影響は、軽微と見ている」と説明。「引き続き状況変化に柔軟かつ機動的に対応し、準備を進めている追加施策を最適なタイミングで実施していくことで、事業と収益への影響を最小化できるよう努めていく」としている。
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