3nmチップ「百花繚乱」 際立つ出来栄えの良さ:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(89)(4/4 ページ)
3nm世代のプロセスを適用したチップが続々と登場している。2023年発売された「iPhone 15 Pro」に搭載しされたプロセッサ「Apple A17 Pro」を皮切りに、各社のフラッグシップスマートフォンに使われ始めている。今回は、その中からQualcommの「Snapdragon 8 Elite」とMediaTek「Dimensity 9400」を紹介したい。
モデム内蔵で先行するQualcommとMediaTek
図8はSnapdragon 8 EliteとDimensity 9400の比較である。5Gモデムを搭載したハイエンドプロセッサを開発できるメーカーは上記2社に加え、Samsung、Huawei、UNISOCがある。Apple Aシリーズも高い性能を持っているが5Gモデムは別シリコンとなっている。モデム内蔵で常に先行するのはQualcommとMediaTekだ。構成やコアは若干異なるがSnapdragon 8 EliteとDimensityの面積差はわずかに、2.5%。ほぼ同じ面積と言っていいだろう。ともにほぼ同等の高い開発力とインプリメント力を持っているわけだ。
図9は約8年前の「Exynos 8890」と「Snapdragon 820」の比較である。ともにほぼ同等機能を搭載し、同じSamsungの14nmで製造されている。面積差はわずか2%。トップメーカーの開発力、インプリメント力は常に拮抗している。
表1はSnapdragon 8 EliteとDimensity 9400の、ボールピッチと電源ICを比較した結果である。若干違いはあるもののほぼ同じ。この2社は今後も足並みをそろえ進化を見せてくれるだろう。
次回は、Apple M4 Pro、M4 Maxを報告したい。
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