化合物半導体市場、2031年に7兆9920億円規模へ:6G通信用でRF半導体需要が拡大
化合物半導体の世界市場は、2024年見込みの4兆4584億円に対し、2031年には7兆9920億円規模に達する。今後はLEDチップやパワー半導体が市場拡大に寄与する。富士キメラ総研が市場調査し、2031年までの予測を発表した。
Micro LED、ウェアラブルデバイスでの需要増に期待
富士キメラ総研は2025年2月、化合物半導体の世界市場を調査し、2031年までの市場予測を発表した。2024年見込みの4兆4584億円に対し、2031年には7兆9920億円規模に達すると予測した。今後はLEDチップやパワー半導体が市場拡大に寄与するとみている。
今回の調査は、光半導体やRF半導体、パワー半導体といった化合物半導体および、基板などの関連部材、そしてデータセンターや自動車などのアプリケーション市場を対象に行った。調査期間は2024年8〜11月。
化合物半導体の世界市場は、電気自動車(EV)関連でパワー半導体の需要が落ち着いている。これに対しAIやデータデンターに向けた化合物半導体の採用が活発になってきたという。この結果、2024年の市場規模は前年比10.6%増の見込みである。RF半導体は第6世代移動通信(6G)向け投資が活発化する2028年以降に期待する。
今後、市場の伸びが期待できるのは、Mini LED・Micro LEDやパワー半導体だという。Mini LED・Micro LEDは、次世代ディスプレイとしてXRやLEDディスプレイ、車載向けなどが増加する。パワー半導体はSiC on SiCが需要をけん引し、自動車関連で採用が進むとみている。
化合物半導体関連部材の世界市場は、2024年見込みの9838億円に対し、2031年は1兆9081億円と予測した。SiC基板は単価が下落したものの、GaAs基板やGaN基板の需要が伸びたこともあり、2024年は前年に比べ2桁近い伸びを見込む。今後は、SiC基板に加え、GaAs基板やVCSEL(垂直共振器型面発光レーザー)の需要増加に期待する。
こうした中、富士キメラ総研が今後の注目市場として挙げたのが、「Mini LED・Micro LED」や「RF半導体」「ダイヤモンド基板」である。
Mini LEDはバックライトユニットやLEDディスプレイなどに用いられている。市場規模は2024年見込みの3152億円に対し、2031年は8336億円と予測した。Micro LEDは、チップサイズが1辺50μm以下、もしくは両辺が100μm以下でベース基板がはがされた製品である。現在は応用市場が限定されているものの、今後はウェアラブルデバイスなどへの搭載が増えるとみている。このため、Micro LEDの市場規模は、2024年見込みの55億円に対し、2031年は9600億円に膨らむと予測した。
RF半導体の市場規模は、2024年見込みの1兆6784億円に対し、2031年は2兆7216億円と予測した。市場をけん引するのはモバイル機器向けパワーアンプ(PA)に搭載されるGaAsのRF半導体である。
また、基地局のアンテナとRFを一体化したMassive MIMOに搭載されるGaN PAモジュールでは、GaN on SiC RF半導体が採用されている。しかも1本のアンテナには、今後64個以上のPAモジュールが搭載される見通しで、RF半導体の需要はさらに拡大する。6G通信では、InP RF半導体の採用も検討されている。
ダイヤモンド基板の市場規模は現在わずかだが、20231年には469億円と予測した。ダイヤモンド半導体は熱伝導率や絶縁耐性に優れている。このため、Beyond 5Gや衛星通信、耐放射線デバイス、量子分野などでの応用が期待されている。とりわけ、データセンターで用いられる放射線センサーなどの開発が進んでいるという。
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