STが車載マイコンに「全振り」 STM32も車載展開へ:エコシステムを生かす(1/2 ページ)
STMicroelectronicsが、車載マイコン分野を加速させる。車載用ではSoCも開発していたが、いったん停止し、マイコンに全リソースをかける。汎用マイコンとして高いシェアを持つ「STM32」も車載向けに展開していく。
STMicroelectronics(以下、ST)が、車載マイコンへの注力をさらに強化する。車載用SoC(System on Chip)の開発をいったん停止し、車載マイコンにリソースを100%集中させる。車載用の統合制御プラットフォームである「Stellar」の製品群拡充と、汎用マイコン「STM32」の車載展開を並行して進め、今後3年間で車載向けマイコンを70品種リリースする予定だ。2030年までに、車載マイコンのグローバルでの売上高を2024年に比べて2倍に伸ばす。
STがフォーカスするのは、電子制御ユニット(ECU)、X-in-1化が進むアクチュエーター、I/Oの領域だ。StellarとSTM32によって、同領域を網羅するソリューションの提供を目指す。
STマイクロエレクトロニクス オートモーティブ製品グループ ディレクターを務める中條顕氏は、同社の車載マイコンの優位性として垂直統合型デバイスメーカー(IDM)であることを挙げる。「プロセス技術と製造能力を欧州に持ち、ファウンドリーとも協力しながらサプライチェーンを強靭化している」(同氏)。STの車載マイコンは40nmまではフラッシュ混載プロセスを採用していて、その先となる28nm、18nmでは組み込み相変化メモリ(PCM)を使用する。StellarはPCMを集積した車載用の32ビットマイコンだ。
「Stellar」製品群を強化
Stellarには、モーター制御など高性能なアナログ機能を搭載したパワートレイン向けの「Stellar P」シリーズと、イーサネットスイッチなどを搭載しセキュリティを強化したゲートウェイ向けの「Stellar G」シリーズがある。それぞれ、「Stellar P7/P6/P3」「Stellar G7/G6」を展開中だ。欧米や中国の自動車メーカーや車載機器メーカーを中心に採用が進んでいて、主要顧客向けに累計50万個を出荷済みだという。現在量産中の品種はハイエンド品に位置付けられていて、今後はミドルレンジやローエンド品を追加していく予定だという。
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