角度誤差は0.3度未満 外乱磁場に強いホール効果位置センサー、TDK:ASIL-Cに対応
TDKはホール効果2D位置センサー「HAL/HAR3550シリーズ」を発表した。車載安全規格「ASIL-C」に対応していて、ブレーキペダル位置検知やステアリング角度検知といったセーフティクリティカルな用途で使用できる。
TDKは2025年4月8日、TDKミクロナスブランドのホール効果2D位置センサー「HAL/HAR3550シリーズ」を発表した。車載安全規格「ASIL-C」に対応していて、ブレーキペダル位置検知やステアリング角度検知といったセーフティクリティカルな用途で使用できる。
主力製品の単機能版 強力な外乱磁場補正
HAL/HAR3550は、ホールプレートアレイ、DSP(Digital Signal Processor)、プログラマブルファームウェア搭載マイコン、メモリを備える。出力方法はアナログ/SENT(Single Edge Nibble Transmission)/PWM(Pulse Width Modulation)に対応している。
ホールプレートアレイはホール素子をサークル状に6つ配置した特許取得の独自構造で外乱磁場補正機能を実現し、大電流化が進む電気自動車(EV)にも対応している。外乱磁場による角度誤差は0.3度未満だ。
HAL/HAR3550はTDKミクロナスのホール効果位置センサーの主力製品である「HAL/HAR/HAC39xy」をベースに、機能を絞り込んだもの。HAL/HAR/HAC39xyはXYZの3軸の動きを検知する3Dセンサーであるのに対し、HAL/HAR3550はXY/XZ/YZの動きを検知する2Dセンサーだ。また、HAL/HAR/HAC39xyは複数用途に利用できるもので、ユーザー側で機能を選択して使用するが、HAL/HAR3550は単機能で、用途ごとに品番が分かれている。そのため、HAL/HAR3550は他の用途に転用できないものの、設定の手間を省略できる。用途は、ブレーキ/アクセルペダル、ステアリング、ギアシフターなどを想定する。
既にサンプル提供を開始していて、量産開始は2025年6月を予定。1個当たりのサンプル価格はシングルダイのHAL3550が0.95ユーロ、デュアルダイのHAR3550が1.8ユーロだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
病院の待合室で心臓検査が可能に? TDKの高感度磁気センサー
TDKと東京医科歯科大学は、磁気シールドのない通常環境で、MR磁気センサーを使った心臓活動の計測に成功した。今後、病院の待合室などでより手軽に心臓検査を行えるようになると期待する。さらに、心電図では難しい疾患の診断、胎児の心臓の評価などが可能になる見込みだ。磁気センサーの磁気分解能を従来の1000倍以上に
アルプスアルパインは東京大学の研究グループと、トポロジカル材料を用いた磁気センサーの開発を始めた。両者の技術や人材を融合することで、従来に比べ1000倍以上の磁気分解能を持つ磁気センサーの開発が可能とみている。シールド不要の磁気位置センサーで自動車電動化を推進 ams OSRAM
自動車の電動化トレンドが加速する中で、位置センサーのニーズが高まっている。磁気位置センサーの開発に注力するams OSRAMに、同社製品の特徴について聞いた。1チップで停電時にも回転数を記録 ADIのマルチターンセンサー
Analog Devices(ADI)は、磁気抵抗に着目した高性能の磁気センサー開発に注力している。磁気センサーは市場規模が数十億米ドル規模と大きく、既に多くの領域で導入されているため、独自技術や性能の高さによって差別化を試みているという。中でも特徴的なのは、電源喪失時にも回転数と角度を検知する磁気位置センサー「ADMT4000」だ。外乱磁場補正機能付き2次元ホールセンサーを発表
TDKミクロナスは2023年4月18日、車載向け2次元ホールセンサー「HAL 302x」を発表した。外乱磁場補正機能を備えていて、パッケージ表面に対して垂直方向の磁場を検知し、360度の回転角度を高速かつ高精度で計測できる。