キーサイトがAIデータセンター向け製品群「KAI」の展開を本格化:1.6Tイーサネット対応のテスターなど(1/2 ページ)
キーサイト・テクノロジーはAIデータセンター向けソリューション群「KAI(Keysight Artificial Intelligence:カイ)」の新製品を発表した。AIワークロードをエミュレートし、ネットワークの最適化を図れる試験システムや、1.6Tイーサネットに対応できるネットワークテスターなどが含まれる。
キーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)は2025年4月10日、記者説明会を開催し、AIデータセンター向けのソリューション群「KAI(Keysight Artificial Intelligence:カイ)」の新製品を発表した。
KAIはブランド名ではなく、キーサイトが「AI社会を支えるソリューション」として位置付ける製品の総称で、これまでにプロトコルテスターや光トランシーバーの試験機、ネットワーク試験機などを展開している。キーサイトで日本マーケティングマネージャーを務める岡崎淳起氏は「物理層からアプリケーション層まであらゆるレイヤーをエミュレートするというのがKAIのコンセプト」だと説明する。
キーサイトがKAIの展開に注力する背景には、AI市場の急速な成長がある。MarketsandMarketsが2024年7月に発表した予測によると、AI市場は2024年から2030年にかけて年平均成長率35.7%で成長し、2030年には1兆3391億米ドル規模になるという。それに伴い、AIデータセンターに必要とされる技術は、通信からメモリまで大きく変わる。例えばイーサネットは400GbE(ギガビットイーサネット)/800GbEから1.6T/3.2Tへの進化、メモリはDDR5からDDR6やHBM3以降への移行、通信速度は100Gbps(ギガビット/秒)から224/448Gbpsへの移行などが予想されている。
一方で課題もある。その一つが、AI処理においてGPUの待機時間が半分以上を占めることだ。処理そのものに関してもフェイルが必ず発生するので、実質的には約半分の処理が失敗に終わっていると岡崎氏は説明する。次世代のAIデータセンターでは、単にGPUの性能を上げたり、GPUの数を増やしたりするだけでなく、AIで行うタスクをGPUに分配するネットワーク性能も重要になる。「演算能力やネットワーク性能が全て機能して初めて、AIの性能を発揮できるデータセンターを構築できる」(岡崎氏)
AIデータセンター向け製品群を提供
KAIは、こうした点を考慮し、AIデータセンター特有の課題に応えるためのソリューションだ。AIワークロードをエミュレートして、システム全体の性能をベンチマークするための試験システム(ソフトウェア)「KAI Data Center Builder」と、「KAI Compute(処理)」「KAI Interconnect(接続)」「KAI Network(ネットワーク)」「KAI Power(電源)」という4つのカテゴリーに向けた製品群で構成される。
今回、KAIの新製品として、KAI Data Center Builder、波形測定用のサンプリングオシロスコープ、1.6Tに対応する小型のネットワークテスターを発表した。
KAI Data Center Builderについては「一番の目玉」(岡崎氏)と強調する。同製品はAIデータセンターそのものの評価をできるソフトウェアで「ネットワークの最適化をラボでできる」(同氏)ことが特徴だ。主に、データセンタースイッチメーカーやルーターメーカー、ネットワークベンダーなどに向ける。
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