実装面積を半減、ロームの車載充電器向け新SiCモジュール:4in1および6in1構成(1/2 ページ)
ロームが、電動車(xEV)用オンボードチャージャー(OBC)向けに新たなSiC(炭化ケイ素)モジュールを開発した。高放熱パッケージおよび低オン抵抗の第4世代SiC MOSFETによって一般品DIPモジュール比で1.4倍以上と「業界トップクラス」(同社)の電力密度を実現し、実装面積の大幅な削減を可能とした。
ロームは2025年4月24日、電動車(xEV)用オンボードチャージャー(OBC)向けに新たなSiC(炭化ケイ素)モジュールを開発したと発表した。高放熱パッケージおよび低オン抵抗の第4世代SiC MOSFETによって一般品DIPモジュール比で1.4倍以上と「業界トップクラス」(同社)の電力密度を実現。実装面積の大幅な削減を可能とした。
2029年には900億円以上の市場に向け、デファクト化目指す
xEVでは、走行距離の延伸や充電速度の向上を目的にバッテリーの高電圧化が進んでいて、それに伴いOBCやDC-DCコンバーターの出力向上が必要となっている。一方で、市場からは小型化や軽量化が求められることから、そのカギとなる電力密度向上と、それを阻害する放熱性能改善への技術的ブレークスルーが求められているという。
ロームによると、現在OBCの出力は11kWがボリュームゾーンだが、ハイエンドクラスなどを中心に22kWクラスも登場していて、今後も拡大が見込まれている。現在はIGBTやSiCのディスクリート品中心の構成が多いが、ロームは、より高電力密度化が求められる22kWクラスではモジュール化は必須になると説明。今回、上述の技術課題をクリアした、「業界トップクラス」という電力密度の新モジュール開発によって、小型化と高出力化を両立し、市場の要望への対応を可能とした。
フランスの市場調査会社Yole Groupによれば、OBCおよびDC-DC向けSiCの市場規模は2029年には約926億円に成長。うちOBC向けだけでも約674億円に拡大する見通しだ(Power SiC 2024 reportより。1米ドル=145円換算)。ロームは今回開発した新モジュールのデファクトスタンダード化を目指し、この市場でのシェア拡大を図る。新モジュールは、既にティア1メーカー2社でデザインウィンが確定しているという。
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